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北九州から始まる“次の時代”──WORK & ROLE 2026 に参加して感じたこと

  • 3月27日
  • 読了時間: 6分

2026 年 3 月 26 日、北九州国際会議場で開催された「WORK & ROLE」に参加しました。 北九州市が掲げる「グリーン・ものづくり・ソーシャル AI」を軸にしたスタートアップ・エコシステム。その中心に位置づけられるこのイベントは、単なる展示会や講演会ではなく、“実ビジネスにつながるディール創出型イベント”として設計されています。参加者が「持ち帰れる何か」を得ることを最重要視している点が特徴的です。

私は普段、教育・福祉・行動科学の領域で仕事をしています。そのため、テクノロジーやスタートアップの世界とは少し距離があるように感じていました。しかし、実際に会場に足を運んでみると、そこには文化・産業・人間・地域が複雑に絡み合いながら未来をつくろうとする熱量が満ちていました。

以下では、当日のセッションを振り返りながら、私が感じたことをまとめていきます。


1. Opening Session

「産業と文化の融合で日本をぶち上げる」

最初のセッションは、DOZAN11(=三木道三)氏、伊藤仁成氏、竹山将志氏の三名による鼎談でした。

DOZAN11 氏の言葉には深く共感する部分が多くありました。

「文化は楽しみで、産業はやらなければならないこと」「地域にある資源を活用し、結びつける」

レゲエという“欧米文化ではない文化”を日本で広めた経験を持つ彼の言葉は、単なる音楽の話ではありません。文化とは、精神性であり、魂であり、人が生きる上での“根っこ”であるということを改めて思い出させてくれました。ちなみにWORK & ROLE は、Rock and Roll, Rock ’n’ Rollにかけているのだとか。

一方で、産業は「やらなければならないこと」。 文化と産業は対立するものではなく、むしろ両輪であるという視点は、教育・福祉の現場にもそのまま当てはまります。

北九州には、ロボット、漫画、AI、製造業、九州工業大学といった多様な資源があります。 それらを結びつけることで、文化と産業の新しいエコシステムが生まれる──そんな未来像が鮮明に語られました。

竹山氏の「産業は東京では無理。だから北九州に拠点を置いた」 という言葉も印象的でした。

“地方だからこそできること”がある。 これは、地域福祉や教育の現場に携わる者として、強くうなずける視点です。


2. JETRO Session

「なぜ今、北九州から世界を目指すのか?」

次のセッションでは、JETRO が提供するスタートアップ支援の紹介と、実際に海外プログラムに参加した学生たちのパネルディスカッションが行われました。

登壇した学生は、 ・介護ロボットの開発 ・宇宙ロケットエンジンの研究 と、いずれも“世界を前提にした挑戦”をしています。

彼らの話を聞きながら、私は次のように感じました。

北九州は、若い挑戦者が「世界」を自然に語れる都市になりつつあるのだと。これは、単に支援制度が整っているというだけではありません。 都市そのものが「Next Horizon Sustainable City」という新しい都市像を掲げ、世界の課題解決を担う“変革の主体”として動き始めているからです。

「都市を課題が生まれる場ではなく、課題を解決する主体として捉える」

この考え方は、教育・福祉の領域にも通じます。 地域そのものが“変革の主体”になるという視点は、これからの社会づくりに欠かせません。


3. Take Off Pitch Session

「テクノロジーの先にある“ヒト”の可能性」

午後のセッションでは、Pixie Dust Technologies、Buff、Muso Action、自然電力という、まったく異なる領域のスタートアップが登壇しました。

ここで語られた内容は、テクノロジーの最前線でありながら、どれも“人間とは何か”という根源的な問いにつながっていました。

● ロボットはどこまで人間を代替できるのか

「実は、現在のロボットは下半身の動きは優れているが、手回りの動きはまだ難しい」 「初心者アルバイトレベルはできるが、熟練工はまだ先」という話は非常にリアルでした。

家庭環境は、工場のように構造化されていないため、さらにロボットの導入は難しい。 だからこそ、まずは単機能ロボットを複数組み合わせるという現実的なアプローチが取られています。

これは、行動分析学の視点から見ても納得できる話です。 環境の構造化が行動の予測可能性を高めるという原理は、ロボットにも人間にも共通します。

● 波動制御技術と人間拡張

ピクシーダストの村上氏が語った「波動制御」は、医療・福祉の領域にも応用可能性があります。

「中枢神経に化学物質は入りにくいが、波動はダイレクトに影響する」という言葉は、脳科学・行動科学の未来を考える上で非常に示唆的でした。

● ユニバーサルデザインの本質

「障がい者用のペンが、健常者でも使いやすい」これはまさにユニバーサルデザインの核心であり、 “特別支援”が“普遍的価値”に転換する瞬間です。教育・福祉の現場にいる者として、胸が熱くなる話題でした。


4. Special Talk Session

「地方から世界へ、サステナブルシティへの航路」

夕方のセッションでは、PIVOT の佐々木紀彦氏、鎌倉投信の鎌田氏、SHONAI の山中氏、そして武内市長が登壇しました。

ここで語られたのは、北九州という都市の“これまで”と“これから”です。

● 北九州は「再生の都市」である

官営八幡製鉄所の操業開始から始まった北九州の産業史。 公害を克服し、環境モデル都市として世界に発信してきた歴史。

「利他的かつ再生的な歴史を持つ都市」

という表現は、北九州の本質をよく表しています。

● Next Horizon Sustainable City という新しい都市像

「都市を変革の主体として位置づける」

これは、単なるスローガンではなく、北九州が世界に向けて発信する“新しい都市のあり方”です。

教育・福祉・地域づくりに携わる者として、 「都市そのものが変革の主体になる」という考え方は非常に魅力的でした。


5. 1 日を通して感じたこと

──“ヒト”が中心にある都市へ

WORK & ROLE に参加して強く感じたのは、 北九州のイノベーションは、テクノロジーではなく“ヒト”を中心に据えているということです。

・文化と産業の融合

・若い挑戦者が世界を目指す土壤

・テクノロジーの先にある“人間の価値”

・都市そのものが変革の主体になるという思想

これらはすべて、「人間とは何か」「人はどう生きるのか」という問いにつながっています。

行動分析学の視点から見ても、 環境が人をつくり、人が環境をつくるという相互作用が、北九州という都市全体で起き始めているように感じました。


6. 最後に──北九州は“未来の実験都市”になり得る

今回のイベントを通して、北九州は 「次の時代の都市モデル」を提示できるポテンシャルを持っている と強く感じました。

・市民活動を中心にした公害を克服した歴史

・産業(製造業)と文化(漫画・映画)の両輪 

・大学・研究機関

・スタートアップの集積

・市長を中心とした明確なビジョン

・市民性としての“利他性”

これらが組み合わさることで、 北九州は「Next Horizon Sustainable City」という新しい都市像を世界に示す存在になりつつあります。私自身も、教育・福祉・行動科学の立場から、 この都市の未来づくりにどのように関わっていけるのかを考え続けたいと思います。

 
 
 

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