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北九州市の発達障害児支援研修が新たな段階へ― 公開保育の拡充と、ABC分析を軸にした“現場で使える支援力”の育成 ―

  • 2 時間前
  • 読了時間: 5分

北九州市では十数年にわたり、市の直営保育所を中心に「発達障害児支援研修」を継続して実施してきました。 この研修は、障害児保育の基礎理解から、個別支援の方法、園内での連携、そして公開保育を通じた実践共有まで、段階的に学べる体系的なプログラムとして高く評価されてきました。

昨年度(令和7年度)からは、これまでの直営中心の枠を超え、民間保育所の保育士も参加できる形へと大きく拡大しました。募集開始から数日で定員に達するほどの反響があり、現場の関心とニーズの高さが改めて浮き彫りになりました。

そして今年度(令和8年度)。 5月7日に市の保育課の担当者4名がABC研究所に来所し、今年度の研修の方向性について詳細な協議が行われました。その内容は、これまでの成果を踏まえつつ、さらに一歩踏み込んだ「実践力の育成」と「園間連携の強化」を目指すものとなりました。

 

■ 昨年度の成果:民間園の参加で広がった“地域の学びの輪”

昨年度の研修では、直営・民間あわせて約30名の保育士が参加し、座学だけでなく 2園での公開保育を見学しながら学ぶ実践型研修 が実施されました。令和7年度の成果としては次の点が挙げられます。

  • 民間保育所の障害児保育の理解が向上

  • チーム保育の発展、組織力の向上

  • 公開保育の実施により、園同士のネットワークが形成

  • ワークシートを活用した園内連携が進んだ

  • 保育士の分析力・支援力が向上

特に公開保育は「実際の子どもの姿を見ながら学べる」と大変好評で、 「自園に戻ってすぐに取り組める具体的な視点が得られた」 「他園の工夫を知ることで、支援の幅が広がった」 といった声が多く寄せられました。

 

■ 今年度の研修は“さらに濃く、さらに実践的に”

今年度の協議では、昨年度の成功を踏まえ、次のような方向性が確認されました。

● 公開保育を 2園 → 3園へ拡大

昨年度は2園を2グループに分けて見学しましたが、 今年度は 3園体制 とし、参加者をさらに分散させることで、 1人ひとりがより深く学べる環境 を整えます。人数を分け、日程も柔軟に設定しながら、 “密度の高い学び” を実現する計画です。

● 研修の中心テーマは「ABC分析による困り感の理解と対応」

今年度の研修課題として、保育士に取り組んでもらうのは、ABC分析を用いた子どもの困り感の把握と、 それに基づく支援計画の作成です。北九州市の研修は数年にわたり 「分析力の向上」「個別対応」「園内連携」を柱として発展してきました。

今年度はその流れをさらに強化し、

  • 子どもの行動の背景を丁寧に読み取る

  • 困り感を“見える化”する

  • チームで共有し、支援方針を統一する

  • ワークシートを活用して園内で連携する

という一連のプロセスを、より実践的に学ぶことになります。

 

■ 研修の全体像:基礎理解から公開保育、そして実践へ

「令和7年度研修概要」で 北九州市の研修は次のような流れで構成されていました。

  1. 基礎講演(発達障害の理解)

  2. 基礎講演(支援の考え方・事例)

  3. 公開保育①(直営保育所)

  4. 公開保育②(直営保育所)

  5. まとめ(振り返り・園内共有の方法)

今年度もこの枠組みを維持しつつ、 公開保育の拡充やABC分析の課題設定など、 より実践的な内容へと進化させる形になります。

■ 直営保育所の役割:地域の“拠点”としての機能強化

「今後の方向性」には、 直営保育所の役割として次の点が明確に示されています。

  • 直営保育所としての質の維持・向上

  • 園内で連携できるワークシートの活用

  • チーム保育の土台づくり

  • 地域の保育士との交流の場としての機能

直営保育所は、これまで積み重ねてきた実践とノウハウをもとに、 地域の保育士が学び合う“拠点”としての役割を担っています。

公開保育の受け入れや、ワークシートの活用方法の共有など、 直営ならではの強みを活かした取り組みが、 地域全体の支援力向上につながっています。


■ 民間保育所の課題と期待:理解の深化と園間連携の促進

民間保育所の課題として次の点が挙げられています。

  • 障害児保育への理解が十分でない

  • 他園の状況や思いを知る機会が少ない

  • 研修受講者が園に1人だけのケースが多い

こうした課題に対し、今年度の研修では

  • 公開保育の拡充

  • ワークシートを使った園内共有の促進

  • 困り感の分析を軸にした“共通言語”の形成

などを通じて、民間園の支援力向上を後押しします。

特に「園内での共有」は昨年度の調査でも効果が高く、 クラス内での共通理解が進むことで、 子どもへの支援が安定し、保育士の負担軽減にもつながることが確認されています。


■ 今年度のキーワードは「つながる」「深める」「実践する」

今年度の研修は、単なる知識習得ではなく、 “現場で使える支援力” を育てること を重視しています。

そのためのキーワードは次の3つです。

① つながる

公開保育や意見交流会を通じて、 園同士・保育士同士がつながり、学び合う関係をつくる。

② 深める

ABC分析を軸に、子どもの困り感を深く理解し、 支援の根拠を明確にする。

③ 実践する

学んだことを自園で実践し、 ワークシートを使って園内で共有し、 チームとして支援を進める。


■ まとめ:北九州市の研修は“地域全体の支援力”を育てる取り組みへ

北九州市の発達障害児支援研修は、 単なる研修事業ではなく、 地域全体で子どもを支えるための基盤づくり そのものです。

直営保育所の実践を地域に広げ、 民間保育所の支援力を高め、 園同士がつながり、学び合う。

その中心にあるのは、 「子どもの困り感に寄り添い、根拠をもって支援する」 という一貫した姿勢です。

今年度は公開保育の拡充やABC分析の課題設定など、 より実践的で、より深い学びが期待されます。

これからも北九州市の保育現場が、 子どもたちの育ちを支える確かな力を育み続けられるよう、 ABC研究所としても全力でサポートしていきます。

 
 
 

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