2025年度 認定社会福祉士認証研修(障害分野)ABA研修を担当して感じたこと ― 発達障がい支援の“実践知”を全国へ
はじめに ― 全国から集まった27名との学びの場 2026年1月10日、公益社団法人福岡県社会福祉士会が主催する「認定社会福祉士認証研修(障害分野)」において、発達障がい支援と応用行動分析(ABA)をテーマに講義を担当させていただきました。今回の研修はオンライン開催でありながら、全国各地から27名の社会福祉士が参加されました。対象者の年齢も幼児から成人まで幅広く、参加者の職種も相談支援専門員、施設職員、学校現場の教員、行政職員、医療機関のスタッフなど多岐にわたっていました。 画面越しであっても、参加者の皆さんからのチャットを通じた積極的な質問から、発達障がい支援に対する強い関心と、現場での課題意識の高さが伝わってきました。オンラインでありながら、皆さん顔出しでの参加で、私自身も講師として非常に刺激を受ける時間となりました。 今回の研修は、発達障害者支援法と発達障がいの基礎理解から始まり、ABAの理論と実践、そして環境調整や行動支援の具体的な方法へと進む、終日をかけた濃密なプログラムでした。参加者の皆さんが抱える現場の課題に寄り添いながら、支援の根


ASDのある子どもの特性を理解し、専門性を高めよう~合理的配慮と強度行動障がいへの対応~ だれひとりとりのこさない
2026年1月8日、北九州市立小倉南特別支援学校にて開催された研修会は、教育と福祉の垣根を越えた画期的な取り組みとして、多くの関係者の関心を集めました。年始の慌ただしい時期にもかかわらず、会場には小倉南支援学校の教員約100名に加え、北九州市内の支援学校、支援級、通級指導教室の教員、校長、教育委員会の指導主事など、総勢190名以上が参加。強度行動障害への対応に対する教育界の高い関心を象徴する場となりました。 第1部:安川氏による1年間のコンサルテーション成果報告 研修の第1部では、自閉症(ASD)支援特化型事業所sTackの管理者であり、北九州市立小倉南特別支援学校のコンサルタントでもある安川氏が、動画を交えて1年間にわたるコンサルテーションの成果を報告しました。安川氏は、学校現場における強度行動障害の予防と改善を目的に、児童生徒一人ひとりの特性に応じた支援の在り方を丁寧に構築。小・中・高等部の複数の生徒が安心して学校生活を送れるようになった事例が紹介され、参加者の共感を呼びました。 また、強度行動障害に関する制度の説明の中で、安川氏が来場者に「
ABAに基づく表出コミュニケーション支援:現場でよくある質問とやり取りから学ぶポイント
先日、北九州市の児童発達支援センターで研修を行いました。研修の中で、職員の皆さんと実際に交わしたやり取りをもとに、絵カードを使ったコミュニケーション支援の考え方をまとめました。現場のリアルな疑問を通して、支援の意図や工夫がより伝わりやすくなると思います。 ■ 絵カードバインダーはどこに置くのが良い? 職員 :「バインダーはどこに置くのが良いですか。置き場所は決めたほうがいいのでしょうか」 私 :「今はどこに置いていますか」 職員 :「机の上に置いています」 私 :「ずっと机の上ですか。別の場面では片付けたりしていませんか」 職員 :「使わないときはロッカーにかけています」 ここで私は次のようにお伝えしました。 私 :「職員が机に置いてあげていると、子どもは“机にあるときだけ使う”と学習してしまいます。コミュニケーションは、必要なときにいつでもできることが大切です。ですから、子ども自身がロッカーから取りに行き、必要な場所に持ってくる経験も学習の一部になります。ホールや園庭など移動先にも置き場所を用意し、どこでも使える環境を整えていきましょう」 ■.
民主主義の「スピードの遅さ」をどう改善するか― 式年遷宮モデル × ABA的実験修正主義 × 制度デザイン ―
1. 民主主義が遅くなる構造的理由 民主主義国家が政策変更に時間がかかるのは、単なる「怠慢」ではなく、制度の構造による。 利害調整に時間がかかる (多様なステークホルダー) 官僚制が慣習化しやすい (前例踏襲) 一度決めた制度が“固定化”される (制度疲労) 失敗を認めにくい文化 (責任追及型の政治文化) 「一度決めたら変えられない」という問題は、民主主義の“制度硬直性”の核心。 2. 提案:式年遷宮 × ABA的実験修正主義 制度を「定期的に更新するもの」と捉えることで、硬直性を防ぐ。 (1)式年遷宮モデル:制度の“定期的リニューアル” 20年ごとに建て替える伊勢神宮のように 制度も定期的に見直すことを義務化する 「変えること」が前提になるため、官僚制の惰性を防ぐ (2)ABA的「実験的修正主義」 ABAの原則 計画 → 実行 → 測定 → 修正 を政策に組み込む。 つまり、 うまくいかなければ修正する データに基づいて改善する 失敗は“改善のための情報”と捉える という文化を制度として保証する。 これは民主主義の弱点を補う非常に合理的なアプ
発達障がい専門医の確保が難しい理由とその処方箋
先日、発達障がい専門のクリニックを開設したいと強く願っている障がい福祉事業をやっている理事長と一緒に、長年、北九州市総合療育センターで重責を担ってこられ、現在退職されている医師とで懇談の機会を持ちました。そこで、医師を確保すること自体が難しい時代になっていることをお伺いし、これはいけないと思った次第です。これは、国が制度的に改善しないといけないと思うと同時に、現状でできることを検討してみました。 ①大学病院の医師派遣の仕組みが変化している 昔は大学が地域に医師を派遣する「医局制度」が強く、地域の病院・施設に若手医師が来やすかった。 現在は研修医を外に出せない(研修プログラムの制約)、大学病院自体が人手不足 などにより、外部への派遣が大幅に減少。結果として、非常勤医師の確保が難しくなっている。 ② 専門医制度の資格化・細分化による制約 小児科、精神科、児童精神科などの専門医制度が厳格化し、研修内容・研修場所が細かく規定されるようになった。 若手医師は資格取得のために決められた施設での研修を優先せざるを得ない。 そのため、自由に外部のクリニックで非


家族支援とスタッフ育成をつなぐ一枚──ペアレントトレーニングDVDのご紹介
子どもの「困った行動」に悩む保護者や支援者の皆さんへ。 その行動の裏には、子どもなりの理由やメッセージがあることをご存じですか? ABC研究所と子ども支援室みらいが共同制作した「ペアレントトレーニングDVD」は、応用行動分析(ABA)に基づき、子どもの行動の仕組みをわかりやすく解説。保護者支援にも、スタッフ育成にも活用できる、実践的な教材です。 DVDで学べる6つのコアエレメント このDVDでは、ペアレントトレーニングの基本となる6つの要素を、映像とワークを通じて学べます。 子どもの良いところを探してほめる 行動を観察し、3つに分類する 行動の仕組みを理解する 行動のメッセージを読み取る 達成しやすい指示を出す 困った行動を減らす工夫をする さらに、特典映像では「良い行動を増やすには?」「困った行動を減らすには?」といった実践的なヒントも収録。現場でのスキルアップや、保護者向け学習会の教材としても最適です。 活用方法:家族支援とスタッフ育成の両輪に 家族支援の場面では… DVD視聴(10〜15分) 子どもの様子の聞き取り 行動について意見交換 ワ


令和7年11月1日開催 佐賀フォーラム
令和7年11月1日、佐賀女子短期大学にて「2025 One Society FORUM SAGA ~これからの強度行動障害支援のあり方~」が開催されました。本フォーラムは、令和6年に設立された一般社団法人佐賀県強度行動障害支援推進協議会が主催し、福祉・教育・医療・行政など多様な分野の関係者が一堂に会する貴重な機会となりました。強度行動障害のある方々やそのご家族が、地域で安心して暮らせる社会の実現に向けて、支援の現状と課題、今後の展望について多角的な視点から議論が交わされました。 当日は、開始前からちょっとした“旅のドラマ”がありました。基調講演を担当された今本氏は、博多から佐賀への電車がまさかのトラブルで運行停止。急きょ天神へ移動し、バスに乗り換えて佐賀入りするという大冒険を経ての到着でした。一方、行政説明を担当された山根氏も、飛行機の遅延により到着が遅れるというハプニングが重なり、事前の打ち合わせ時間は確保できず…。それでも、関係者の柔軟な対応により、プログラムの順番を入れ替え、今本氏の講演の後に山根氏の行政説明を行うことで、無事にフォーラムを


🚗令和7年10月18日 北九州市小倉南区農事センターにて車中泊訓練に参加して
〜災害時の「安心」を体験から考える〜 令和7年10月18日、秋晴れの心地よい空の下、北九州市小倉南区の農事センターにて、北九州市自閉症協会主催による「車中泊訓練」が実施されました。私はこの訓練に参加し、実際に自閉症児者とそのご家族がどのように避難生活を体験されるのかを間近で見守る機会を得ました。 この取り組みは、単なる防災訓練ではありません。災害時、指定避難所に入ることが困難な自閉症児者とその家族が、車中泊という選択肢を通じて「自分たちにとっての安心」を模索する、実践的かつ心に響く試みです。 🧩背景にある切実な課題 この活動の原点は、熊本地震直後に被災地を訪れた北九州市自閉症協会の伊野憲治会長が目にした、避難所に入れず車中泊を余儀なくされていた自閉症児者の家族の姿でした。避難所の満杯、施設自体の被災、そして発達障がいのある方にとって集団生活が困難であることなど、避難所に入れない理由は多岐にわたります。 「誰もが避難できる社会」を目指すには、こうした現実に目を向け、具体的な代替手段を検証することが不可欠です。車中泊はその一つの選択肢であり、今回の


【研修レポート】7月7日開催!ポジティブ行動支援北九州
🎋【ポジティブ行動支援 北九州 研修レポート:7月7日開催】 七夕の日、願いを込めるように…「好き」「嫌い」という人の感情と行動のつながりに焦点を当てた、実践的かつ温かな研修を開催しました🌟今回のテーマは「好き嫌いから見えてくる人の行動」。単なる好みを超えて、行動支援の...


山口県岩国市にある「ここいろ」
5月25日に岩国でセミナーがあった際に「ここいろ」を見学しました。 生活介護施設でABAや構造化のアイディアを使って自閉症スペクトラム障害の利用者の方が働きやすい環境を用意しています。 肥料を計量して袋詰めするための工夫です。利用者に応じていろいろな工夫をされています。...














