【開催報告】令和8年度 第1回ポジティブ行動支援・北九州研修会を開催しました!〜行動の観察と記録の仕方を学ぶ〜
障がい福祉の現場や教育・医療の現場で、利用者様の「困った行動」に直面し、どのように関わればよいか悩んだ経験はありませんか?私たちは、そのような現場の課題に対して、応用行動分析(ABA)の理論に基づき、本人の生活の質(QOL)を向上させるためのアプローチ「ポジティブ行動支援(PBS)」を学び、実践し、繋がるネットワーク作りを目指しています 。 令和8年5月22日(金)、ウェルとばた・6ABにて、令和8年度初となる第1回「ポジティブ行動支援・北九州」研修会を開催いたしました 。 今回は、その熱気あふれる研修会の様子を、当日使用された貴重な資料や具体的な事例を交えながら、余すところなくお届けします! 1. 満員御礼!51名の熱い支援者が集結 2024年の発足以来、着実に歩みを進めてきた「ポジティブ行動支援・北九州」 。令和8年度の幕開けとなる今回の研修会には、なんと51名もの方々にご参加いただきました。 特筆すべきは、受講者の半数以上が昨年度の研究会には参加されていない「新規の申込者」であったことです。障がい福祉サービス事業所をはじめ、学校


✦ 農福連携の生活介護事業所「ゆめそだてファーム」を訪問して
5月12日(火)10:00〜11:40 管理者と所長 ■ 施設に到着して 建物は広めの一般住宅を改修したもので、昨年4月に農福連携の生活介護事業所としてオープンしたそうです。広い駐車場があり、建物の前には地域の生活道路が通っていて、まさに「地域の中にある施設」という印象を受けました。1階と2階があり、入浴ニーズのある方や家庭・グループホームから通う方まで、幅広い利用者が利用しています。 ■ 利用者の様子と支援の工夫 4月に特別支援学校から移ってきたMさんは、声や人の刺激に敏感で、1階では他害が見られることもあったそうです。しかし、2階に移ってからは驚くほど落ち着いて過ごせているとのことでした。 今後は、本人の様子を丁寧に見守りながら、少しずつグループ活動への参加を進めていく予定だと伺いました。同じく4月から利用しているSさんは、強いこだわりがあり、止められるとパニックになり支援員を押すなどの危険行為が出ることがあります。掲示物やスケジュールを破る行動もあり、理由は「仕事をしたくない」などさまざまです。現在はこだわりの対象物を見えないように工夫し、
北九州市の発達障害児支援研修が新たな段階へ― 公開保育の拡充と、ABC分析を軸にした“現場で使える支援力”の育成 ―
北九州市では十数年にわたり、市の直営保育所を中心に「発達障害児支援研修」を継続して実施してきました。 この研修は、障害児保育の基礎理解から、個別支援の方法、園内での連携、そして公開保育を通じた実践共有まで、段階的に学べる体系的なプログラムとして高く評価されてきました。 昨年度(令和7年度)からは、これまでの直営中心の枠を超え、民間保育所の保育士も参加できる形へと大きく拡大しました。募集開始から数日で定員に達するほどの反響があり、現場の関心とニーズの高さが改めて浮き彫りになりました。 そして今年度(令和8年度)。 5月7日に市の保育課の担当者4名がABC研究所に来所し、今年度の研修の方向性について詳細な協議が行われました。その内容は、これまでの成果を踏まえつつ、さらに一歩踏み込んだ「実践力の育成」と「園間連携の強化」を目指すものとなりました。 ■ 昨年度の成果:民間園の参加で広がった“地域の学びの輪” 昨年度の研修では、直営・民間あわせて約30名の保育士が参加し、座学だけでなく 2園での公開保育を見学しながら学ぶ実践型研修 が実施されました。令
医療強度行動障害研究会・心理部会オンラインキックオフミーティング報告
発起人:鳥取大学・井上教授/事務局:周南市鼓ヶ浦療育福祉センター・安田相談員 令和8年5月7日(木)医療強度行動障害研究会の新たな試みとして、心理職を中心とした「心理部会」が立ち上がった。 そのオンライン・キックオフミーティングが開催され、全国の医療・福祉・教育・大学研究者など、多様な領域で強度行動障害支援に携わる専門家が参加した。本稿では、プライバシーに配慮しつつ、議論のエッセンスをまとめ、心理部会が目指す方向性を整理する。 1. 参加者の背景と問題意識 まず印象的だったのは、参加者の領域の広さである。 医療機関の強度行動障害チーム、発達障害者支援センター、大学研究者、福祉施設の相談員、学校現場のコンサルタント、早期療育、TEACCH、ESDM、PBSなど、実践と研究の両面から多様な専門家が集まった。 ● 現場の共通課題 参加者の発言から浮かび上がったのは、次のような共通課題である。 機能的アセスメントを現場でどう実装するか 「アセスメントまではできるが、その後の実践につながらない」「保護者や支援者にどう伝えるかが難しい」という声が複数あった。


自閉症啓発デー2026北九州に参加して― 映画が教えてくれた「理解」と「つながり」の大切さ ―
自閉症啓発デー2026北九州に参加した今年の4月5日(日)は、私にとって例年以上に深い意味を持つ一日となりました。 会場で上映された映画をきっかけに、当事者の苦悩や家族の葛藤、そして支援者としての自分の役割について、改めて考えさせられたからです。 さらに、啓発デーの趣旨と昨今の世界情勢を重ね合わせると、私たちが社会の中で何を大切にすべきかという問いが、より鮮明に浮かび上がってきました。 ■ 映画が描く二人の少女の出会い ADHDを抱える絃(いと)と朱里(じゅり) 映画の主人公は、発達障害のひとつであるADHDを抱える二人の女子高校生、絃(いと)と朱里(じゅり)です。 絃は進学校に通う真面目な少女ですが、ひどい物忘れに悩まされ、生活や学業に支障をきたしています。重要なテストの日に目覚ましをかけ忘れて寝坊してしまい、そのショックから学校へ行けず、ふらりと立ち寄った公園で朱里と出会います。 朱里は茶髪に派手なメイクの“ギャル”風の女子高生。初対面でいきなり「ADHDって知ってる?」と明るく言い放つ彼女に、絃は驚きながらも惹かれていきます。...
「意思決定支援」は理念ではなく実装の問題である—又村あおい氏 講演会(2026/3/28@ウェルとばた)参加レポート
2026年3月28日(土)、北九州市ウェルとばたで開催された、又村あおい氏(全国手をつなぐ育成会連合会 常務理事)による講演会「知的障害と意思決定支援」に参加しました。 会場には、家族、支援者、行政職員、教育関係者など、多様な立場の方々が集まり、北九州として「意思決定支援」をどう実装していくのかを考える貴重な機会となりました。 冒頭、北九州市の担当課長が次のように挨拶されました。 「現状では、当事者の意向よりも、家族や支援者の意向が優先されていないか」 この言葉は、講演全体の核心を象徴していたように思います。 意思決定支援は、制度や理念の話ではなく、“本人の人生を本人が選べるようにする”という極めて実践的なテーマだからです。 1.意思決定支援は「権利」であり、現場の必須要素です 又村氏はまず、意思決定支援が国際条約・国内法で明確に位置づけられていることを示されました。 障害者権利条約第12条では、 「障害者が法的能力を行使するために必要な支援を利用する機会を提供する」 と規定されています。 また、改正障害者基本法第3条では、...


北九州から始まる“次の時代”──WORK & ROLE 2026 に参加して感じたこと
2026 年 3 月 26 日、北九州国際会議場で開催された「WORK & ROLE」に参加しました。 北九州市が掲げる「グリーン・ものづくり・ソーシャル AI」を軸にしたスタートアップ・エコシステム。その中心に位置づけられるこのイベントは、単なる展示会や講演会ではなく、 “実ビジネスにつながるディール創出型イベント” として設計されています。参加者が「持ち帰れる何か」を得ることを最重要視している点が特徴的です。 私は普段、教育・福祉・行動科学の領域で仕事をしています。そのため、テクノロジーやスタートアップの世界とは少し距離があるように感じていました。しかし、実際に会場に足を運んでみると、そこには 文化・産業・人間・地域 が複雑に絡み合いながら未来をつくろうとする熱量が満ちていました。 以下では、当日のセッションを振り返りながら、私が感じたことをまとめていきます。 1. Opening Session 「産業と文化の融合で日本をぶち上げる」 最初のセッションは、DOZAN11(=三木道三)氏、伊藤仁成氏、竹山将志氏の三名による鼎談でした。 DOZ
岩国ABAセミナー報告記 ― 形だけの支援から卒業するために
2026年3月15日、岩国市民文化会館にて、午前・午後あわせて6時間のABAセミナーを開催しました。 今回のテーマは午前が 「形だけの支援から卒業する ABA基礎講座」 、午後が 「支援者の安全を守りながら行動を変えるABA機能的支援」 。 どちらも、現場で働く支援者が“明日から使える視点”を持ち帰れるよう、実践的な構成でお届けしました。 参加者は 45名を超え 、岩国市内だけでなく、広島県の法人、そしてオンラインでは鹿児島からの参加もあり、地域を越えた学びの場となりました。 会場近くのお好み焼き店でのランチも好評で、午後のエネルギーをしっかり満たしてから後半戦に臨むことができました。 ■ 午前:形だけの支援から卒業するためのABA基礎 午前の講座では、まず「ABAとは何か」という根本から整理しました。 資料にもあるように、 「行動は『環境との相互作用』で変わるという立場」 「見た目の行動を解釈するのではなく、事実を観察して記録する」という基本姿勢を確認し、支援の“土台”を揃えるところからスタートしました。 ● 「性格」「感情」「意図」で説明


【報告】「ポジティブ行動支援・北九州 since 2024」― 1年間の学びと仲間の成長、そして新たな歴史の始まり ―
令和7年度の「ポジティブ行動支援・北九州」の全日程が終了し、先日、1年間の活動を締めくくる打ち上げを行いました。会場には、障害福祉サービス事業所、児童福祉、教育、相談支援、そして北九州市発達障害者支援センターつばさなど、北九州市内の多様な現場で働く支援者が集まりました。写真に写る皆さんの表情はどれも柔らかく、そしてどこか誇らしげで、1年間の歩みが確かな手応えとして刻まれていることを感じさせるものでした。 今年度の活動は、単なる研修会の開催にとどまらず、北九州におけるポジティブ行動支援(PBS)の文化を育てるための“基盤づくり”として大きな意味を持つものでした。そして、この取り組みは来年度から名称を新たにし、 「ポジティブ行動支援・北九州 since 2024」 として歩みを進めていきます。この名称には、2024年を出発点として、これから歴史を積み重ねていくという強い意志が込められています。 以下では、今年度の振り返りと、打ち上げで語り合った来年度への展望をまとめておきたいと思います。 ■ 令和7年度の歩み ― 「学び」と「つながり」が同時に育った
【旅レポ】大学の友人5人と巡る、篠島・日間賀島 “たこ”と“ふぐ”と“笑い”の二日間
大学を卒業してから、40年近くになる。 それぞれが家庭を持ち、仕事を抱え、住む場所もバラバラになった今でも、こうして年に一度は集まって旅に出られる仲間がいるというのは、本当にありがたいことだ。2026年3月7日と8日。 今年の旅先に選んだのは、愛知県・知多半島の先に浮かぶ 篠島(しのじま) と 日間賀島(ひまかじま) 。 「たこ」と「ふぐ」の島として知られ、海の幸と素朴な島の風景が魅力の場所だ。今回は、その二日間の旅を振り返りながら、仲間との時間の尊さを噛みしめる記録として残しておきたい。 ■ 1日目:知多半島から船に揺られて、篠島へ 朝、それぞれの場所から集合。 大阪、安城、千葉、神奈川、そして私は福岡から。 住む場所は違っても、顔を合わせれば学生時代の空気に一瞬で戻るのが不思議だ。河和港から高速船に乗り込み、海風を浴びながら篠島へ向かう。 船が近づくにつれ、島の輪郭がくっきりと見えてくる。 港に降り立つと、まず目に飛び込んでくるのは 「ようこそ篠島へ」 の看板。 鯛とふぐのイラストが描かれた、どこか懐かしい雰囲気のウェルカムボードだ。








