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【公開研修会レポート】ASDの特性理解と強度行動障害への支援を学ぶⅡ

  • 2月13日
  • 読了時間: 5分

― 応用行動分析(ABA)と合理的配慮を軸に、学校と福祉が連携した北九州市の新しい取り組み ―

2026年1月8日、北九州市立小倉南特別支援学校にて開催された公開研修会は、教育と福祉が連携して取り組む全国的にも珍しい試みとして、多くの注目を集めました。年始の忙しい時期にもかかわらず、会場には小倉南支援学校の教員約100名に加え、市内の支援学校・支援級・通級の教員、校長、教育委員会の指導主事など、総勢190名以上が参加。 「強度行動障害」「ASD支援」「合理的配慮」「ABA(応用行動分析)」 といったテーマへの関心の高さが、数字としても明確に表れた研修会となりました。

■ 第1部:安川氏による1年間のコンサルテーション成果報告

今回の研修の核となったのは、自閉症(ASD)支援特化型事業所 sTack 管理者であり、北九州市立小倉南特別支援学校のコンサルタントとして1年間伴走してきた 安川渉寛氏 による成果報告です。

安川氏は、学校現場における強度行動障害の予防と改善を目的に、児童生徒一人ひとりの特性に応じた支援を丁寧に構築してきました。 報告では、小・中・高等部の複数の生徒が、環境調整とチーム支援によって安心して学校生活を送れるようになった事例が動画とともに紹介され、会場からは深い共感が寄せられました。

アンケートには次のような声が寄せられています。

「生徒の『困った行動』を仕方ないとあきらめてしまうと支援が止まってしまうという言葉が心に残りました。」 「行動の背景には“つらさ”があると考えると、『そうしたくもなるよな』と思えた。」

また、担任の先生方からの実践報告も大きな反響を呼びました。

「年度初めは行動に追われて混乱していたが、コンサルを受けることで課題を絞り、適切な対応ができるようになった。」 「クラス運営に手一杯だった自分が、子どもに合わせた支援の大切さに気づけた。」

福祉事業所の専門家が学校に深く関わるという構造は全国的にも珍しく、北九州市における先進的なモデルとして今後の発展が期待されます。

■ 第2部:応用行動分析(ABA)とコンサルテーションの講演

第2部では、私から 「応用行動分析(ABA)とコンサルテーションの有効性」 をテーマに講演を行いました。

ABAは、行動の背景にある環境との相互作用を理解し、望ましい行動が起きやすい環境を整える科学です。 講演では、強度行動障害を「その子の性質」ではなく “環境との相互作用の結果” として捉える重要性を強調しました。

アンケートには次のような感想が並びました。

「環境が行動をつくるという視点は、学校づくりを見直す上でとても役立つ。」 「行動を抑えるのではなく、望ましい行動が起きやすい環境を整えるという考え方が印象に残った。」 「応用行動分析を、特別支援だけでなく通常の教育活動にも生かせると感じた。」

また、コンサルテーションの本質についても多くの反響がありました。

「専門家が答えを与えるのではなく、支援者が自ら問題解決できるよう支援するという説明が腑に落ちた。」 「支援が人に依存してしまうと継続しない。仕組みとして残すことの大切さを実感した。」

■ PBS(ポジティブ行動支援)とアセスメントの実践

講演後半では、PBS(ポジティブ行動支援) の基本ステップを紹介し、

  • 行動の機能理解

  • 環境調整

  • 望ましい行動の教授

  • 一貫した支援と評価

という流れを、Dさんの事例をもとに解説しました。

アンケートでは、

「PBS演習が参考になった。もっと事例を見たい。」 「アセスメントの取り方が具体的で分かりやすかった。」 「ABC記録を使って行動の目的を探りたい。」

といった声が多く寄せられ、現場での実践につながる学びが得られたことが伺えます。

■ 教職員間の支援文化をつくる ― サンドイッチ法の演習

研修の最後には、職場内でのスーパービジョンやコンサルテーションの伝え方として、 「サンドイッチ法(ほめる→助言→励ます)」 の演習を行いました。

「実際にやってみて気持ちがよかった。日頃から意識したい。」 「教師同士の協力の大切さを改めて感じた。」

といった感想が多く、学校全体で支援を共有する文化づくりの一助となったようです。

■ 参加者の98%が「実践に役立つ」と回答

アンケート結果では、

  • 内容を理解できた:100%(うち58%が「理解できた」)

  • 実践に役立つ:98%

という非常に高い評価が得られました。

特に印象的だったのは、次のような声です。

「支援者の誤解や認識で支援が止まるという言葉が胸に刺さった。」 「行動の背景には“分からない”“伝わらない”経験があると理解できた。」 「ASDの子どもが安心して力を発揮できる環境をつくることが教師の役目だと感じた。」

■ まとめ:北九州市から始まる“誰ひとり取り残さない支援”

今回の公開研修会は、 「ASDの特性理解」「強度行動障害の予防」「ABAとPBSの実践」「学校と福祉の連携」   という複数のテーマが一つにつながった、非常に意義深い取り組みでした。

診断名よりも「困りごと」に着目し、合理的配慮を個別化と行動の視点から捉え直すことで、 誰ひとり取り残さない支援 が実現できます。

北九州市で始まったこの取り組みが、今後さらに継続・発展し、 学校現場の支援文化を豊かにしていくことを心から願っています。


 
 
 

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