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ビデオモデリングの効用

支援を受ける対象者(自閉症児者)に新しい行動を身につけてもらうための方法論として、応用行動分析の分野で様々な方法が研究され発展してきましたが、その1つがビデオモデリングです。これは私が大学院にいた頃には、研究文献に紹介されていたので、かれこれ30年以上前、1980年代から取り組まれてきたことになります。

ビデオモデリングで取り組む行動としては、適切な表出コミュニケーション、ソーシャルスキル、身辺自立、運動スキルなど多岐に渡っています。対象者の特性としては、人の動きを見て真似る、模倣ができることが必要です。

通常、目の前でやって見せるライブモデリングに比べての利点としては、何度でも繰り返し見せることができる、周囲の刺激を統制できる、モデルの動き、服装や髪形などが変わらないといった点があげられます。特に自閉症の人には、刺激の過剰選択性、注意散漫さ、変化に弱いといった特性があるので、上記の利点が生きてきますし、実際ビデオモデリングは効果的に新しい行動の習得に役立つといった成果が出ています。

最近は、スマホというインターフェース機器、ユーチューブなどのSNS動画、検索エンジンの発展によって、適当な動画を選び、その場で提示できるようになったので、保護者や支援者が簡単にビデオモデリングを実践できる環境が整いました。

私たちの大学院の時代は、モデルになる大学院生や教材を集めて、映画のロケのように三脚を立てて8ミリビデオカメラで撮影をします。ある程度、課題分析などしてシナリオを考えておかないと、膨大な時間を取ってしまうのでマナーとしてモデルの人に食事をご馳走するなど気を遣う必要があります。またそれを編集してVHSカセットに収めるのが大変で、対象児に見せるまでに間に合わせるために徹夜作業はざらでした。そして実際に見せる時にも機器のトラブルで動かない、撮り方が悪くてうまくいなかいというハプニングもつきものでした。

今は、ある程度、撮影の準備が整えば、スマホで撮影して、パソコンにアップして見せられるようにするのでとても楽です。あるいは、ユーチューブに似たような動画があれば、それを探してスマホでそのまま提示できるので楽ですね。

テクノロージーの進化は、発達障害の療育や支援にとても役立っています。一方、AIの発展によって我々専門家の仕事もなくなるかもしれませんが・・・

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