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佐賀それいゆでの3日間研修を終えて―アセスメントに基づく支援を体験する3日間―

  • 13 分前
  • 読了時間: 6分

今年も佐賀市の「それいゆ相談センター」にて、3日間の実技研修を担当させていただきました。実施日は2月28日から3月2日までの3日間です。年度末の慌ただしい時期にもかかわらず、外部から7名、内部から3名と施設スタッフの皆さまも参加してくださり、会場には学びへの熱意と前向きな空気が満ちていました。

今回の研修の中心に据えたのは、「アセスメントを基盤に支援を組み立てること」です。 支援の根拠をどこに置くのか、どの情報をもとに環境を整え、課題を作り、行動を理解するのか――そのすべての出発点がアセスメントです。

アセスメントには二つの柱があります。

  • TTAPに代表されるフォーマルアセスメント

  • 日常の行動観察や生活情報を含むインフォーマルアセスメント

フォーマルアセスメントは客観的な枠組みを提供し、インフォーマルアセスメントは具体的な支援を考える際に欠かせない“生活の文脈”を与えてくれます。今回の研修では、この両者を丁寧に扱い、特に1日目に実施したアセスメント情報を、3日間のすべての議論の共通基盤として使うことを大切にしました。

協力者として参加してくださったAさんとBさんには、それぞれに担当トレーナーとして吉永さん町田さんがつき、丁寧に寄り添いながら支援してくださいました。 特に町田さんは、かつてそれいゆで研修を受け、現在は青森県の発達障害者支援センターの所長として地域の重責を担っておられる方です。今回、再び佐賀の地に戻り、トレーナーとして協力してくださったことは、私にとっても懐かしい出来事でした。

1日目:TTAPの理解と実施

初日は、TTAPの講義から始まりました。検査具を実際に触りながら、目的や構造、評価の視点を確認していきます。TTAPは「触ってみないと分からない」検査であり、参加者の皆さんが真剣に道具を手に取り、互いに質問し合いながら理解を深めていく姿が印象的でした。

午後は協力者を迎えて、いよいよ直接観察の実施です。 Aさん・Bさんの自然な行動や反応から、参加者は多くの気づきを得ていました。

  • どの刺激なら理解しやすいのか

  • 注意の向きやすさ、散漫さ

  • どのような視覚的手がかりが有効か

  • 作業の流れをどこまで保持できるか

こうした“生きた情報”は、机上の学習では得られません。

TTAPの実施にはトレーナーの町田さん、サブトレーナーの五所さんが入り、検査の進行や記録、協力者への声かけなど、細やかなサポートをしてくださいました。サブトレーナーの存在があったからこそ、参加者は安心して観察に集中でき、学びの質が大きく高まりました。

そしてこの日得られたアセスメント情報は、翌日以降のグループワークの“共通言語”となりました。 参加者は支援を考える際、必ず1日目のアセスメントに立ち返り、

  • 「この反応はTTAPのどの項目とつながるのか」

  • 「インフォーマルで見えた行動の背景は何か」

  • 「強みをどう支援に翻訳するか」

といった視点で議論を深めていきました。 全員が同じ地盤に立ってディスカッションできたことが、支援の質を大きく高めた要因でした。

2日目:特性整理から構造化へ

2日目は、TTAPの結果とインフォーマルアセスメントを統合しながら、特性整理を行うところから始まりました。

TEACCHの支援は「特性→構造化」の翻訳作業です。 そのため、午前中は「特性と構造化の対応表」を示しながら、どの特性がどの支援につながるのかを丁寧に確認しました。

午後は、教室の物理的構造化、視覚的スケジュール、ワークシステムの作成へ。 協力者が再び登場し、実際に構造化した環境で活動してもらうことで、支援の妥当性を確認しました。

この日の運営を支えてくださったのが、会場の裏方を担ってくださったファシリテーターの皆さまです。机やパーテーションの配置、教材の準備、協力者の誘導、時間管理など、表には見えない多くの仕事を完璧にこなしてくださり、研修が滞りなく進むよう支えてくださいました。

3日目:自立課題の作成と実施、そして再構造化

最終日は、参加者が自ら自立課題を作成し、協力者に実施してもらうという、最も実践的な1日です。TEACCHの支援では、生活・余暇・職業のすべてに構造化が必要であり、それを体験することが重要だからです。

協力者が課題に取り組む姿を見ながら、参加者は次々と改善点を見つけていきました。

  • 量が多すぎた

  • 視覚的手がかりが曖昧だった

  • 終わりが分かりにくかった

  • テンプレートの位置がずれていた

実施後の振り返りでは、TEACCHの4つの構造化(物理的構造・スケジュール・ワークシステム・視覚的構造)に沿って分析を行いました。 この枠組みで振り返ることで、参加者の理解が一気に整理されていきました。

協力者とトレーナーの存在が研修を支えた

今回の研修は、Aさん・Bさんという協力者の存在があってこそ成立しました。 お二人の自然な行動、得意なこと、苦手なこと、そして努力する姿が、参加者にとって何よりの教材となりました。

そして、協力者に寄り添いながら支援してくださった吉永さん町田さん。 特に町田さんは、かつて受講生として学び、今は青森で地域の支援を担う立場となり、今回はトレーナーとして戻ってきてくださいました。その姿は、研修が人を育て、地域をつなぎ、支援の輪を広げていくことを実感させてくれました。

また、TTAPの実施を支えてくださったサブトレーナーの皆さま、会場運営を陰で支えてくださったファシリテーターの皆さまにも、心から感謝申し上げます。皆さまの力がなければ、この研修は成立しませんでした。


佐賀の温かさと、忘れがたき“きくらげチャンポン”

ここからは、徒然草風で記します。

旅の空にて、肥前国の地に三日逗留せし折、 二日目の夜餉に供されたる攙和麵(ちゃんぽん)、 きくらげ半ばを所望せしに、 いざ運ばれし丼の大きさ、山のごとし。野菜は盛りのよきこと雲を凌ぎ、 きくらげは黒き宝玉のごとく満ち満ちて、 前夜の酒気をも洗い流す妙味、 一口ごとに舌鼓を打ちぬ。「かくも滋味深き攙和麵、世にまたあらんや」 と感嘆せしが、 三日目に八幡村へ戻り、某チェーン店の麺を食すに、 きくらげの載ること、露のごとくわずかにして、 まこと口惜しきこと限りなし。肥前の攙和麵こそ、忘れがたき味なりけり。

研修を終えて

今回の3日間研修は、参加者が「受け身ではなく、自分で考えて手を動かす」ことを中心に据えた構成でした。 そして何より、1日目に行ったアセスメントを常に基盤に置き、根拠に基づいて支援を組み立てるという姿勢が、参加者全員に共有されていたことが大きな成果でした。

TTAPというフォーマルアセスメントと、インフォーマルアセスメントの両方を使いながら、支援の根拠を積み上げていく――そのプロセスを体験していただけたことは、現場での実践に必ずつながると感じています。

佐賀それいゆの皆さまの温かさ、協力者のお二人の頑張り、トレーナー・サブトレーナー・ファシリテーターの皆さまの支えが、この研修を特別なものにしてくれました。

また来年度、さらに良い研修を一緒に作れることを楽しみにしています。


NPO法人それいゆには、質の高いスタッフが揃っており、町田さんのように全国各地から研修のために仕事に来られる人もたくさんいます。過去の研修を経験した同士でネットワークが作られ、各地に戻っても地域の重責を担い、大活躍をしています。それいゆで、働きながら現場での実践力を磨いていきたい方はぜひご連絡を https://npo.autism-soreiyu.com/

 
 
 

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