熊本セミナー報告:自立学習課題づくりの実践と工夫
- Shigeru Imamoto

- 1月25日
- 読了時間: 4分
2026年1月25日(日)、熊本市東区のエンゼル保育園にて開催された「発達障がいの子どもに役立つ自立学習課題の作り方」セミナーは、実践的でありながら温かみのある学びの場となりました。受講者は、児童発達支援、幼稚園、放課後等デイサービス、知的障害者生活介護事業所の職員の方々です。
エンゼル保育園は、保育所・児童発達支援・高齢者デイケアが併設された複合施設で、日頃から子どもと高齢者の交流が行われています。今回は会場をお借りしただけでなく、教材作りに必要な材料や道具までご提供いただきました。心より感謝申し上げます。
講師は私が務めました。30年以上にわたり発達支援に携わってきた経験をもとに、TEACCHプログラムとABAの理論と実践を融合させた内容をお伝えしました。
午前の部:理論とアセスメントの理解
午前中は、自立課題の基本的な考え方と、教材作成に向けたアセスメント方法について、レジメに沿って丁寧に解説しました。
自立課題とは、TEACCHプログラムに基づき、ASDの子どもができるだけ人の手を借りずに、自分のペースで学習や作業を進められるよう工夫された教材のことです。視覚的な手がかりや興味を引く要素を組み込み、認知レベルに応じて視覚的構造化を行います。
参加者は複数のフォームを活用しながら、
スキル評価 → 教材選定 → 活動の見える化 → 結果の評価と再構造化
という一連の流れを学びました。
特に「洗濯ものスキルの評価」では、シャツやタオルを干す・たたむといった工程ごとに評価する方法を紹介し、個別支援計画への活かし方を具体的に示しました。
午後の部:教材作成と実践紹介
午後は、実際に教材を作成する実習の時間です。参加者は事前に用意された材料や道具を使いながら、子ども一人ひとりのニーズに応じた課題づくりに取り組みました。
冷蔵庫収納課題
買い物した品を分類し、冷蔵庫に収納する活動は、生活スキルだけでなく、分類・マッチング・空間認知など多くの認知スキルを育てます。冷蔵庫を模したイラストに、生鮮品のマグネットを配置する構造で、容器や仕切り、ラベルの工夫が随所に見られました。
数と数量の概念課題
1〜10の数と数量を学ぶ課題では、数字と果物シールを使ったマッチングや数量対応の課題が作成されました。概念理解を促す教材として、参加者から高い評価がありました。
パワーポイントを使ったマッチング課題
ICTを活用した教材として、パワーポイントを使ったマッチング課題も紹介されました。
・ピザの個数を答える課題
・表示された画像の名前を選ぶ課題
誤答にはブザー、正答にはピンポン音とご褒美画像が表示される仕組みで、タブレット操作に慣れた子どもたちにとって親しみやすく、視覚的に理解しやすい構造になっていました。
感情のオノマトペ語習得課題
「わくわく」「もやもや」「イライラ」など、感情を表すオノマトペ語を学ぶ課題も作成されました。感情語の辞書を用意し、子どもに人気のキャラクター風の絵を見本刺激として用いることで、言語発達と情緒理解の両面を支援する工夫が見られました。
輪ゴムでの図形形成課題
輪ゴムとピンを使って図形を作る課題は、空間認知と微細運動の両方を育てる教材です。完成見本を提示することで手順が見える化され、初めて取り組む子どもでも安心して作業できる構造になっていました。
図形と色によるマッチング課題
図形と色を組み合わせたマッチング課題は、分類・識別・注意集中など幅広いスキルを育てます。身近な材料を活用しながら、多様な提示方法が工夫されていました。
ボタンはめの課題
A3サイズの子どもの上半身イラストに、フェルトで作った服を合わせてボタンをはめる課題でした。イラストがとてもかわいらしく、子どもが思わず手を伸ばしたくなるような魅力のある教材でした。
参加者の声
「教材づくりの実習がとても具体的で、すぐに現場で使えるヒントがたくさんありました。『子どもたちができた!』を引き出す工夫に感動しました。今日は、有意義な研修をありがとうございました。」
「初めての参加でしたが、基本的な考え方を教えていただき安心しました。自立学習課題の考え方・支援の幅が広がり、とてもよかったです。今日は、有意義な研修をありがとうございました。」
おわりに
今回のセミナーは、教材作りの技術だけでなく、「子どもが自分でできるようになる」ことへの希望と工夫が詰まった学びの場となりました。実践的な指導のもと、参加者一人ひとりが現場に持ち帰れるヒントを得られたことと思います。今後も、こうした実践的な学びの場が広がり、より多くの子どもたちが安心して自分らしく学べる環境づくりが進むことを願っています。














コメント