ABAに基づく表出コミュニケーション支援:現場でよくある質問とやり取りから学ぶポイント
- Shigeru Imamoto

- 1月7日
- 読了時間: 3分
先日、北九州市の児童発達支援センターで研修を行いました。研修の中で、職員の皆さんと実際に交わしたやり取りをもとに、絵カードを使ったコミュニケーション支援の考え方をまとめました。現場のリアルな疑問を通して、支援の意図や工夫がより伝わりやすくなると思います。
■ 絵カードバインダーはどこに置くのが良い?
職員:「バインダーはどこに置くのが良いですか。置き場所は決めたほうがいいのでしょうか」 私:「今はどこに置いていますか」 職員:「机の上に置いています」 私:「ずっと机の上ですか。別の場面では片付けたりしていませんか」 職員:「使わないときはロッカーにかけています」
ここで私は次のようにお伝えしました。
私:「職員が机に置いてあげていると、子どもは“机にあるときだけ使う”と学習してしまいます。コミュニケーションは、必要なときにいつでもできることが大切です。ですから、子ども自身がロッカーから取りに行き、必要な場所に持ってくる経験も学習の一部になります。ホールや園庭など移動先にも置き場所を用意し、どこでも使える環境を整えていきましょう」
■ 要求できないときに癇癪になる。絵カードは片付けていい?
職員:「要求できないときに大声で泣いてしまいます。そういうときはバインダーを片付けてもいいのでしょうか」 私:「教室にいるときに“ホールで遊びたい”と要求されたら、どう対応していますか」 職員:「活動スケジュールを指して伝えています」
私:「その対応で良いと思います。コミュニケーション手段は基本的にいつでも使える状態にしておきますが、“今は要求できる場面かどうか”はスケジュールで伝えます。視覚的に示すことで、子どもも納得しやすくなります」
● 「ない」ことをどう伝える?
職員:「給食のおかわりがないときはどうしたらいいですか」 私:「今はどう伝えていますか」 職員:「空の容器を見せています」 私:「とても良い方法です。言葉だけで“ない”と伝えても納得できない場合、実際に確認してもらうのが一番です。そのうえで、絵カードに×印をつけたり、“終わり”の箱に入れたりして、視覚的に“ない”を示す方法を繰り返すと理解が進みます」
■ 家からおもちゃを持ってきたがる子どもへの対応
職員:「3歳の子どもがおもちゃを持ってきたがり、取り上げると泣いてしまいます。親御さんも困っています」 私:「今はどのように対応していますか」 職員:「バス乗車のときに“おもちゃはバイバイ”と言って取り上げています。子どもは泣きますが、しばらくすると落ち着きます。ただ、親御さんがつらそうで…」
ここで私は、まず保護者の気持ちに寄り添うことを大切にしたいとお伝えしました。
私:「別れ際に激しく泣かれるのは本当につらいですよね。“泣かせないこと”を目標にするのではなく、“安心して手放せるようになること”を目標にすると、保護者も受け入れやすくなります」
● 子どもが手放せない理由を考える
私:「発達の特性により、“手放す=永遠に失う”と感じてしまうことがあります。無理に取り上げられると不安が強くなり、職員に対してマイナスの感情を持つこともあります」
● TEACCHの構造化を活用する
私:「家の中で遊ぶ場所、片付ける場所、“終わり箱”を決めて、遊んだら必ずそこに戻す経験を積みます。いつでもそこに戻ってくることを確認できると、安心して手放せるようになります」
● スモールステップの提案
車の中で“終わり箱”に入れる
バスに乗る前に入れる
1つだけ持ってきて園で決めた場所に置く
園にも“終わり箱”や飾り棚を用意する
私:「このように段階的に進めることで、無理なく手放せるようになります」
















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