ASDのある子どもの特性を理解し、専門性を高めよう~合理的配慮と強度行動障がいへの対応~ だれひとりとりのこさない
- Shigeru Imamoto

- 6 日前
- 読了時間: 4分
2026年1月8日、北九州市立小倉南特別支援学校にて開催された研修会は、教育と福祉の垣根を越えた画期的な取り組みとして、多くの関係者の関心を集めました。年始の慌ただしい時期にもかかわらず、会場には小倉南支援学校の教員約100名に加え、北九州市内の支援学校、支援級、通級指導教室の教員、校長、教育委員会の指導主事など、総勢190名以上が参加。強度行動障害への対応に対する教育界の高い関心を象徴する場となりました。
第1部:安川氏による1年間のコンサルテーション成果報告
研修の第1部では、自閉症(ASD)支援特化型事業所sTackの管理者であり、北九州市立小倉南特別支援学校のコンサルタントでもある安川氏が、動画を交えて1年間にわたるコンサルテーションの成果を報告しました。安川氏は、学校現場における強度行動障害の予防と改善を目的に、児童生徒一人ひとりの特性に応じた支援の在り方を丁寧に構築。小・中・高等部の複数の生徒が安心して学校生活を送れるようになった事例が紹介され、参加者の共感を呼びました。
また、強度行動障害に関する制度の説明の中で、安川氏が来場者に「強度行動障害のある児童生徒を支援している先生はどのくらいいますか?」と挙手を求める場面がありました。支援学校だけでなく、支援級の先生方も多く手を挙げていたことに驚きました。強度行動障害をテーマにした研修にこれほど多くの参加者が集まった背景には、現場で何らかの手がかりを得たいという切実な思いがあるのではないかと感じました。
さらに、実際に支援に携わった担任の先生方からも報告があり、現場での試行錯誤やチーム支援の工夫が共有されました。ある先生は、「年度当初は生徒の一つひとつの行動に追われて混乱していたが、コンサルテーションを受けることで課題を絞り、適切な対応ができるようになった。クラス運営に手一杯だった自分が、子どもに合わせた支援の大切さに気づけた」と振り返っていました。
福祉事業所の職員が学校に深く関わるという構造自体が全国的にも珍しく、北九州市における先進的な連携モデルとして今後の展開が期待されます。
第2部:ABAとコンサルテーションの講演
第2部では、私から「応用行動分析学(ABA)とコンサルテーションの有効性」について講演を行いました。ABAは、行動の背景にある環境との相互作用を理解し、望ましい行動が起きやすい環境を整える学問です。講演では、強度行動障害が「その子の性質」ではなく「環境との相互作用の結果」であることを強調し、支援の視点を「行動を消す」から「行動の役割を変える」へと転換する重要性を伝えました。
また、コンサルテーションの本質は「専門家が答えを与える」のではなく、「支援者が自ら問題解決できるよう支援する」ことであると説明。学校文化として支援が定着するためには、個人の経験を共有可能な形にし、チームで支える仕組みづくりが不可欠であることを強調しました。
ポジティブ行動支援(PBS)の導入
講演の後半では、PBS(ポジティブ行動支援)についても触れ、叱る・罰する支援ではなく、本人の生活の質(QOL)を高める支援の重要性を紹介しました。PBSの基本ステップとして、行動の機能理解、支援環境の調整、望ましい行動の教授、一貫した支援と評価の流れを提示。Dさんの事例をもとに、ABC記録を活用した行動アセスメントと支援計画の立て方を具体的に解説しました。
教職員間の支援文化の醸成
最後に、職場内でのスーパービジョンやコンサルテーションの伝え方について、サンドイッチ法を用いたフィードバックの実践演習を行いました。「ほめる→助言→励ます」の流れを意識することで、対話と信頼関係を築きながら支援の質を高める方法を体感していただきました。
まとめ
今回の研修は、教育と福祉が連携し、学校全体の支援力を高めるための共通言語づくりに向けた第一歩となりました。診断名よりも「困りごと」に着目し、合理的配慮を個別化と行動の視点から捉え直すことで、誰ひとり取り残さない支援が可能になります。今後もこの取り組みが継続・発展し、北九州市の教育現場における支援文化の深化につながることを願っています。

















コメント