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🚗令和7年10月18日 北九州市小倉南区農事センターにて車中泊訓練に参加して

〜災害時の「安心」を体験から考える〜

令和7年10月18日、秋晴れの心地よい空の下、北九州市小倉南区の農事センターにて、北九州市自閉症協会主催による「車中泊訓練」が実施されました。私はこの訓練に参加し、実際に自閉症児者とそのご家族がどのように避難生活を体験されるのかを間近で見守る機会を得ました。

この取り組みは、単なる防災訓練ではありません。災害時、指定避難所に入ることが困難な自閉症児者とその家族が、車中泊という選択肢を通じて「自分たちにとっての安心」を模索する、実践的かつ心に響く試みです。

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🧩背景にある切実な課題

この活動の原点は、熊本地震直後に被災地を訪れた北九州市自閉症協会の伊野憲治会長が目にした、避難所に入れず車中泊を余儀なくされていた自閉症児者の家族の姿でした。避難所の満杯、施設自体の被災、そして発達障がいのある方にとって集団生活が困難であることなど、避難所に入れない理由は多岐にわたります。

「誰もが避難できる社会」を目指すには、こうした現実に目を向け、具体的な代替手段を検証することが不可欠です。車中泊はその一つの選択肢であり、今回の訓練はその有効性と課題を体験的に探る貴重な機会となりました。


📖紙芝居で始まる安心の導入

訓練の冒頭では、重度知的障害を伴う自閉症者3名とそのご家族に向けて、車中泊の流れや注意点について紙芝居形式で説明が行われました。担当されたのは、長年発達障がい支援に携わってこられた作業療法士の竹下さん。イラストを用いた視覚的な説明は、参加者の不安を和らげ、安心して行動できるよう配慮されたものでした。

竹下さんの語り口は柔らかく、参加者一人ひとりの表情を見ながら丁寧に進められました。支援者としての温かみと経験がにじみ出るその姿勢に、私は深く感銘を受けました。

🛠️実践的な車内環境づくり

続いて、一般社団法人九州防災パートナーズの藤澤氏と大久保氏による車内環境の実演と解説が行われました。お二人は2019年から地域での防災意識を高める活動を続けており、発達障がいのある方々が安心して車中泊できるよう、現場での工夫を重ねてこられた実践者です。

車内のレイアウト、寝具や遮光の工夫、温度管理、プライバシーの確保、トイレや食事の準備など、実際に車中泊を行う際に必要なポイントが、具体的かつわかりやすく紹介されました。特に感覚過敏や不安の強い方への配慮として、音や光への対策、安心できる持ち物の準備など、細やかな工夫が印象的でした。

「ハイブリッド車は災害時に電源確保がしやすく、車中泊にも向いています」といった情報も共有され、車の購入や買い替えを検討されている方にとっても有益な内容でした。

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🏛️行政との連携と地域の防災力

今回の訓練には、北九州市南区役所より消防署から出向された防災担当職員2名も参加されていました。行政との連携は、災害時の支援体制を構築する上で欠かせない要素です。

自然災害は、いつ、どこで起きてもおかしくない切実な課題です。津波、土砂崩れ、河川の氾濫など、災害危険区域の確認や、いざという時に避難できる場所・避難所の把握は、日頃から意識しておく必要があります。

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🚧車中泊の現実と課題

大規模災害時、避難所が受け入れ可能な人数は全人口の約20%にとどまると言われています。車中泊は現実的な選択肢となり得ますが、内閣府ではエコノミー症候群などの健康リスクを踏まえ、推奨しない方針も示されています。

また、災害時には渋滞などに巻き込まれるリスクもあり、どこでどのように避難するか、どこに駐車するかなど、課題は多く残されています。だからこそ、実際に体験してみることが大切です。体験を通じて初めて、具体的に何をどう備えるべきかが見えてきます。

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😊参加者の笑顔が語るもの

今回の訓練で最も印象的だったのは、参加された自閉症の方々が非常に穏やかに、そして積極的に参加されていたことです。通常、自閉症の方は、いつもと違う環境では不穏になり、活動への参加を拒否することもあります。しかしこの日は、まるでピクニックに来たかのような笑顔で参加され、車中泊用に設定された車の内装にも、ためらうことなく入り、横になってリラックスされていました。

昼食には、お弁当を購入し、車内で食べる体験も行いましたが、皆さん食欲も旺盛で、モリモリと召し上がっていました。防災の専門家である大久保さんも、「いつもは、こんなに積極的に参加してくれないのに、今日の参加者はすごいね」と感想を述べられていました。

このような姿を目の当たりにし、北九州市が長年にわたり取り組んできた、幼少期からの継続的な療育の成果であると、改めて確信いたしました。


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🔄今後への展望と呼びかけ

北九州市自閉症協会では、今後もあと3回の車中泊訓練を予定されています。今回のような体験を通じて、災害時の「自分たちにとっての安心」を見つけることは、何よりの備えとなります。

ご関心のある方は、ぜひ北九州市自閉症協会までお問い合わせください。体験を通じて得られる気づきは、きっとご自身やご家族の安心につながるはずです。https://www.asj-kitakyushu.org/

 
 
 

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