6月17日愛知の三河で事業団体向けの講演会

刈谷市で愛知、三重のわかばの杜という事業団体向けのABC研究所の講演会を行ないました。まだ立ち上げて5年ほどの若い事業所ですが、とても熱心な職員80名程が集まって、午前と午後の講演会に参加されていました。聴衆と近い距離で話させていただいたせいか、反応が良く話しやすい雰囲気でした。しかし、質問は講演会が終わった後にぞろぞろと来られたので意外にシャイな面があるんだなと思いました。 ①昆虫好きの小学生の子どもの話題にはす付き合ってあげた方がいいのか? 基本的には好きな話題に付き合ってあげることは、支援者との信頼関係を作る上で大切だと思いますし、本人の強みを伸ばすという点では良いことだと思います。ただ、話しかけるときは唐突で一方的だということなので、会話のルール(ソーシャルスキル)を教えてあげた方が良いかと思います。 ②特定の職員にこだわりがありその職員が他の利用者に話しかけると不穏になられるASDの成人にどう対応したらいいか? 就労B型に所属されているということですが、特定の職員に偏るのは、支援する側も、ご本人の自立の面でも不都合が生じるでしょう。まず信頼のある職員と他の職員が一緒に入って信頼関係を作るようにして交代することを予告した方が良いでしょう。また、この施設では個別のスケジュールを用意していないということでした。個別のスケジュールを用意して先の見通しへの不安を下げることで依存も減るかもしれません。スケジュールがなくて、支援者の指示で動かして、特に問題のないように見える施設は多いと思います。しかし、このケースのように支援者依存が強まり問題が生じることになります。 ③急に作業を振

好子(強化子)をコントロールする

先日、インターネットばかりして教師が提示する学習活動を拒否する通常学級の特別支援学級にいる小6の男児の相談を受けました。教師の話を聞き、教室での様子を観察すると、その生徒は教室にやってくると自分でノートパソコンを開き電源を入れてインターネットを見ています。教師が学習プリントを提示しようとすると暴言を吐き、教師を蹴ろうとしました。それ以上、強要すると癇癪を起し抑えられなくなるのでそれ以上は強要しないようにしているとのことでした。教室にいるほとんどの時間はインターネットばかりしているそうです。彼は自分のホームページを作ってブログの投稿や、なんと不登校の生徒の相談まで行っているそうです。 一方、隣の教室はトランポリンが置いてある遊具室になっていましたが、入口に南京錠がかかっていては入れないようになっていました。先生に聞くと、以前は自由に出入りできていたのですが、その生徒が入り浸りになり、切り替えも難しくなったので、最近鍵をかけるようにして必要な時だけ入って使うようにしているそうです。 私は教員の方たちとの懇談の中で、まず子どもが好きなものを教員側のコントロール下に置かないといけないことを伝えました。そこですぐに教員の方から次のような反論が出ました。「でも、そうすると子どもはひどい癇癪を起しますよ!」私は「そうです。癇癪は起きます。でも遊具室の場合にも癇癪を起しましたが、その後はどうなりましたか?治まりましたね?完全にコントロール下におけば癇癪はやがて治まります。でも癇癪が起こるので中途半端に許してしまうから、いつまで経っても癇癪は治まらないですし、逆に長引いたり強まる要因にもなってい

行動モーメンタム2

去年の7月8日の記事で「行動モーメンタム」という概念を紹介しました。行動モーメンタムというのは、行動分析家のNevinらが1980年代に提唱したもので行動の変化のしにくさ(変化抵抗)を表します。発達障がい児が他者からの指示に従わない行動(非応諾行動)も変化抵抗と言えるものです。逆に応諾行動が身に着けば、指示に抵抗を示すといった行動問題も減少することがわかっています。 先日、ある通園施設に通っているお母さんからこんなエピソードを聞きました。歯科医院に行く事に対して抵抗を示す3歳児のお子さんについてです。家から歯科医院に出かけるのに「歯医者行くよ」と言っても頑として受け付けないので、「歯医者行ったら、アイス買ってあげるから」と「楽しみは後回し」の方略を使ってみたそうですが、「行かない」の一点張りです。 そこでお母さんは、苦し紛れに「まずパン屋に行こうか、それから歯科医院ね」と提案しました。すると「パン屋行く」と言いました。私は、パン屋には行ったけど歯医者は拒否したかなと思いましたが、結果はなんと・・・後日、結果を聞いてみると「パン屋に行った後、ちゃんと歯医者に行けました」という報告を受けました。 行動モーメンタムの研究では、応諾行動の後に非応諾行動を随伴すると、後者に対しての抵抗が少なくなるという結果を示しています。この場合、「パン屋に行く」というのが応諾行動で「歯医者に行く」のは非応諾行動で、研究結果と同じことが起こりました。私は、長らく低頻度行動(歯医者に行く)を強化するために好子(パン屋)を後に随伴することが大事と思っていましたが、行動モーメンタムのように先行子操作も効果的な

褒めることの全般的な効用

宗像にあるあっぷぷーという放課後デイサービスは、サッカーを活動の中心に据えたユニークな試みをしています。運動を中心にした療育は、様々な効用があります。まず発達障がいのお子さんは、学校や様々な環境でストレスを抱えていることが多く、運動をすることは負のエネルギーの発散に効果があります。また適度な運動は行動問題のリスクを下げると言われています。 中でも私が注目するのは褒められること、人に認められることの効果です。この事業所には、他の事業所では粗暴行為が多く利用を敬遠された子どもも何人か来ています。最初はルールを守らなかったり、粗暴行為も多少あったのですが、支援者に褒められることで自尊心を取り戻し、行動問題を減らしています。 サッカーはゲームのルールが簡単で、ボールが動いている限り、子どもたちも動いており、プレーの瞬間瞬間にほめる個所がたくさん散りばめられています。ちなみにルールは「ボールを手を使わずに相手のゴールポストに入れる」という単純なルールからスタートして、難しい戦術などについては言及しません。ですから、始めた当初は、全ての子どもがボールの周りに集まる団子サッカー状態だったそうです。しかし、団子状態ではボールが動かず、ゴールに向かいにくいことや子ども同士のトラブルが多いことを直接経験したり、コーチが瞬間的にフィードバックすることで、徐々に、パスやドリブルでボールを回すことを習得していきました。 「実行⇔フィードバック」のサイクルがうまく回ることで、自然に行動が落ち着いてくるいい例だと思いました。 日々の取り組みがブログにあっぷされているので見てみてください。http://mun

子どものご機嫌取りをしてませんか?

ある日、保育参観の日に保育士のBさんは悩んでいました。その保育所にちょっとしたことですぐに癇癪を起す4歳児のA君がいます。A君のIQは70で自閉症の疑いがあると専門機関で言われています。みんなでの集まりの時間が無事に終わり、自由遊びの時間になりました。Bさんは念を押すつもりで「一緒に仲良く遊びましょうね」と伝えて、玩具を出して子どもたちを遊びに誘いました。 その中でC君はミニカーを出して遊んでいました。同じようにミニカーが好きなA君は、C君のミニカー遊びに口を挟んできました。A君は「こうすると面白いよ」と言って、無理やりミニカーを動かそうとします。C君は少し困ったように固まっています。そこで保育士のBさんは、そこに介入して言いました。「それはA君の玩具じゃないでしょ!」 その言葉に反応したA君は顔を真っ赤にし、隣の教室にも漏れるような大声でわめきながらBさんを叩き始めました。Bさんは驚きながらも、予めカムダウンのために用意していた静養室に連れて行き、なだめようとしました。慌てて出て来た園長も「玩具持ってきましょうか?」と言って静養室まで玩具を持ってきました。Bさんは「あとで渡しますので今はいいです」と言って脇に避けていました。 そのうち5分もするとA君は落ち着いてきたので教室に戻ることができました。その後は、帰るまで特に騒ぐこともありませんでした。 ちょっとしたことで癇癪を起すA君のためにBさんが予め静養室をカムダウンの場所として用意していたのは良い判断でした。そこに子どもをなだめようとして玩具を持ってこようとした園長の判断はどうでしょうか?私たちは、子どもが癇癪を起すと何とか

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(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

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