
親が子どもに言い聞かせるように叱責すると・・・②
Aさんが、わざと間違ったことをするという宣言をして実際に実行する行動の要因は他にもありました。ある日、家にハンカチを忘れてきたことがあって、一日中、それを気にすることがあって、その日は、その言動が頻発していたそうです。その場合は、不安を解消してあげることが必要になります。 Aさんの事例を基に職員と話し合った行動問題の解決の手順についてまとめます。 ⓪問題の原因を明らかにする(アセスメント) ①問題を予防する環境整備 ②問題解決行動の支援と強化 ③適切行動の分化強化 ④行動を注意する、ソフトなペナルティ ⓪行動問題の原因 注意獲得行動と不安の解消ということがわかりました。 ①問題を予防する環境整備 洗剤など口にするものを視界から除去する。ここでの物を減らす対応は、一時なものですし、必要なものをなくすことが増えるとQOLの低下を招くので注意が必要です。②以下で説明するセルフコントロールが身に着くにつれて可能な限り通常の環境に戻していくべきでしょう。 また不安の解消ですが、ハンカチを忘れたエピソードで説明します。Aさんはハンカチを家に忘れて気になってし

親が子どもに言い聞かせるように叱責すると・・・①
先日、成人の生活介護施設に行って職員の方と行動問題の事例について検討しました。20代の自閉症の男性利用者Aさんは、職員の目の前で洗剤を口にして「洗剤飲む?」と疑問形で宣言し実際に飲もうとするそうです。 職員の方が考えた対応法は、まず①洗剤を隠すこと、②洗剤を飲むことは良くないことを洗面台に視覚的に掲示するというものでした。②については、禁止であっても洗剤の絵を掲示することで、目について洗剤を探したりするのではないかと他の職員が不安に感じていました。 私は、これまでの勉強会で伝えたことを思い出してもらうために、行動問題に対応する時の基礎を説明しました。行動問題に対応するには、目に付く行動にとらわれてそれを無くそうとします。でも、そうではなくまず、そのような行動をする原因を明らかにすることが大切です。その行動が周囲にどういう影響力を持っているか(機能)をアセスメントします。ABC分析がその具体的な方法論です。 何人かの職員に聞いてみると、「注意引き」ではないかということでした。もう少し詳しく聞くと、職員が近くにいるとそのような質問をしてくるので、ある

顎を叩く自傷のある成人女性
対応方法を考える前に行動の「機能」を知る必要があります。機能がわからなければ、アセスメントとしてのABC分析の出番ですが、だいたいの予測は職員の方に質問をすればわかるので聞いてみました。するとAさんは職員の様子を伺いながら顎を叩いているとのことでした。「これは①注意引きという機能