周りに害を与える言動や考えには異を唱える

発達障害児施設に通っている自閉症のC君は、ある日、帰る時に施設にある石鹸液をボトルごと持って帰ろうとしました。C君は、一度決めたことは頑として受け付けず、大癇癪を起してしまいます。お母さんの説得には、なかなか応じません。そこでお母さんは、車にあった芳香剤を取り出し、「これと交換しましょう」と言って、石鹸液のボトルと交換して帰って行きました。 その後、施設でケース会議があり、このエピソードが話題になりました。施設長は「そんな餌付けのような対応はどんなんだ!」と疑問を呈しました。施設長は、その場限りの対応よりも、たとえ大泣きをしたときしても説得して引き離すか、そのまま持って帰らせたらどうかというものでした。施設長は、経験から学ばせるというスタンスです。 施設長の意見が全く間違っているとは言えません。試してみないとわからないこともあると思います。しかし一点気になることは、「そんな餌付けのような」という発言です。施設長は、自分の考えと違ってお母さんの対応は良くないと思っているわけですが、その発言によって、ある支援法に対してネガティブな印象を周囲の人に与えてしまうことになるでしょう。Aという支援法=餌付け=ネガティブという関係が確立されると、周りの人はその支援法を使うことをためらうでしょう。 だから、そのような発言があって、おかしいなと思ったら勇気を持って異を唱えることが大切です。もし黙っていたら、それを認めたことになるでしょうし、それに同調する人が現れます。

ガミガミ母さんとおだやか母さん

ある児童発達支援センターに通うA君のお母さんは、A君のことを常にガミガミ叱っています。一方、B君のお母さんは、B君に時折注意を与えますが、常にガミガミ怒っているわけではなく、良く出来た時は褒めたり、一貫しておだやかに接することが多いお母さんです。A君のお母さんが他のお母さんと話し込んでいる時、B君のお母さんと保育士が話している所に、A君が走ってやってきました。そして唐突に「僕はお母さんが好きです」と言いました。B君のお母さんは「A君のお母さんが好きなんだよね?」と聞き返すと、A君は「いいえ、僕のお母さんではありません。」と即答しました。

仮想通貨とトークンエコノミー

発達障がい児者の支援の分野で私たちになじみのあるトークンエコノミーですが、日常生活の身近な例として店舗で出しているポイントカードなどがあります。さらに近年は、仮想通貨なるものもどうやらトークンエコノミーのようだと言われていて、私たちの生活で使われている貨幣経済もトークンと言えばトークンです。支援の分野では、対象者の行動を強化する手段の1つとして用いられることが多いのですが、私は貨幣のように実生活で普通に存在し回っていくものと捉えています。あるご家庭でこんな例を聞きました。 その家族の自閉症のお子さんは、外出の際の買い物が好きで、文房具や食べ物などを親に買ってもらっています。その子は、ある程度、字の読み書きや簡単な計算もできるので、親は子どもにおこずかい帳をつけてもらって、金銭管理をしてもらおうと思いました。まず買い物に使うお金を稼いでもらうために、家でできる簡単なお手伝いAを課し、その賃金を500円と設定しました。お手伝いBにも500円を設定し、AとBの2つのお手伝いを行って、1日に千円程度稼げるようにしました。買い物に出かける前に、おこずかい帳の収入の欄に千円を記入してもらい、外出に出かけます。 外出先での買い物は、パターンになっていて決まったものを買います。支払いをする時は、親が電子マネーで行い、帰ってから子どもがおこずかいに支出を記入します。しかし、実際に買ったものの金額は千円の数倍です。親は、合計がだいたい千円に収まるように品物の金額を口頭で伝え、記入させました。親は、疑問に感じながらそのやり取りを数年続けられてきたそうです。 私は、この取り組みが効果的か、倫理的にどう

二語文を理解するイルカたち

9月の頭、子どもたちの夏休み最後の週末は、北九州の自閉症協会のバスハイクにご一緒させていただきました。一日目は、ハウステンボスでの周遊でしたが、豪雨とバッティングして大変でした。午後の遅い時間にようやく雨も小降りになりましたが・・・。夜はロボットが受付をしている変なホテルに泊まりました。 2日目は一転快晴の天気になり、九十九島の水族館に向かいました。駐車場は、外国人の観光バスが何十台も連なって渋滞でしたが、私たちのマイクロバスはすんなり入れました。館内に入るとちょうどイルカショーが始まるというので、みんなそこに向かいました。みんな大人しく観れるかなと思っていたら、ショーが終わるまで誰も離れることはありませんでした(こういうときに、子どもたちの成長を実感します)。 そこで面白い出し物がありました。トレーナーがイルカにボールや円盤などの5種類のアイテムを指定し、次にその場所に行って、タッチやジャンプなど5種類の動作を実施させるというものでした。面白いのは、アイテムをイルカに示す時は、イラストを使い、次に動作を示す時はサインを使っていたことです。 たとえば、トレーナーがボールのイラストをイルカの前で見せ、すぐにジャンプのサインを出します。するとイルカは、ボールの前まで来てジャンプをするのです。そのようなトレーナーの指示をイルカは3種類くらいの組み合わせでこなしました。これは、まだ試行したばかりで研究中のことでした。保護者の人たちの感想は、「イルカは2語文がわかるんだ」「ペッ〇スと一緒だ!」「うちの子の方がもっとできる!」などなど。 言語の働きは複雑で頭のいいイルカでも2語文の理解がよ

審判への暴言は誘発行動

先日は、テニスの世界4大メジャー大会の1つ全米テニストーナメントで、初めて日本国籍の先週が優勝するという快挙が報道されました。一方で対戦相手の試合中の言動には、がっかりしました。 対戦相手のセリーナ選手は、審判にルール違反を指摘されて逆上して、テニスラケットを破壊し、さらにその行為がルール違反に当たるとして宣告されたことで、審判に暴言を吐きました。これはまさに審判によるルール違反の指摘という先行事象によって引き起こされた誘発行動の例です。

特集記事
最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
0

(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

お問い合わせ先

〒804-0072

日本福岡県北九州市

戸畑区元宮町7-16-102

電話&ファックス

TEL:093-287-7662

FAX : 093-330-4239

メール

simamoto66@gmail.com

​担当:福田

合同会社

  ABC研究所

 

代表:今本 繁

  • Facebook Social Icon
  • Twitter Social Icon
  • Google+ Social Icon
  • YouTube Social  Icon