top of page

行動分析学は動物っぽくて嫌だ!

 行動が生じるのはなぜか?真っ暗な部屋で電気をつけると部屋が明るくなります。行動によって環境が好ましく変化します。個体にとって好ましい環境変化を生じさせる行動は、その後も続けて起こります。これを強化の原理と言います。行動分析学は行動と環境の相互作用を研究する学問です。自閉症や発達障害の人に適切な環境設定を行うことで行動問題を予防し改善を図ることができます。

 行動分析学は、心を扱わないとか冷たいとか、動物っぽくて嫌だ!という意見もときどき聞かれます。これは人間の生物としての側面を見たくない、避けたいという思いの表れかもしれません。逆に心の問題とか本人のせいと捉えることで個人攻撃になったり、ネガティブな対応になって本人を苦しめることがあります。

 私は行動分析学に出会う前は精神分析学を勉強していました。精神分析学では、人間の悩みは”ココロ”の問題ととらえます。無意識に抑圧されたトラウマが問題の原因と考えられています。そして問題を解決する鍵は、無意識に抑圧されたトラウマを意識化することで解放することです。問題に直面化させることが精神分析の核心的な方略なのです。しかし、このアプローチはクライエントにプレッシャーと心理的な負担を強いることになります。もちろんセラピストにも。ですから”ココロ”が弱いクライエントにはうまくいきません。言語的理解力が弱いクライエントにも。

 行動分析学的アプローチは、ココロの問題ではなく行動の問題ととらえます。実はココロの働きや気持ちや思いは扱わないのではなく言語行動という行動で捉えます。言語の働き、機能はいくらか分類されていますが、まだまだわからないことばかりです。でも行動の獲得や詳しい働きについては関係フレーム理論など新しいパラダイムが生まれています。

 行動分析学ではココロではなく行動に焦点を当てることでマイルドで冷静な対応ができます。また個人の尊厳や人権を尊重するとても人間的なアプローチと言えます。

特集記事
後でもう一度お試しください
記事が公開されると、ここに表示されます。
最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page