発達障害に配慮した就労支援の在り方

 今日の午後は、博多駅筑紫口の近くにある九州ビルの5階の研修会場で、職員の方向けの研修会がありました。昨日から続く大雨で、来場者は少なかったものの集まった方たちで熱気に包まれていました。前半は、発達障害の特性について、後半は指導の仕方で応用行動分析に基づくプロンプト法の紹介を行いました。会場で出された質問についていくつか紹介したいと思います。

1.休憩で使っているベッドの脚が壊れて癇癪を起こす

Q:生活介護施設の利用者で発語のない人が、休憩の時にベッドを使っているがある日壊れてしまった。その人は、いつもベッドに飛び乗るようにして使っているのでいつかは壊れるだろうなと思っていた。ベッドの脚が壊れてしまったので、職員にジェスチャーで直して欲しいをアピールをしたが、職員には直せないので癇癪を起してしまった。どうすればいいか?

A:この方が、職員に援助を求めるスキルを持っているのは良い点ですが、実際にはすぐに直せなくて癇癪を起してしまうことはよくあることです。求めていることが、すぐに提供されない、待てないことが癇癪を誘発するのです。もし、その人がカレンダーなどを理解している人なら、購入の予定を提示するなどします。

 また直接ベッドが壊れる要因にもなっている、ベッドに飛び乗るという行為を何とか修正できないものかと思います。そのためには、物理的に飛び乗れない工夫をする、プロンプトで教える、視覚的ルールを提示するなどがあるでしょう。

Q:実際には何日か後に元のベッドと同じものを買ってきて提供したが、拒否をした。最終的に別のベッドと選択してもらったら、買ってきたベッドを選んで落ち着いた。

A:拒否が出る場合に選択肢を提示する方法は、効果的な方法と言われていますので良かったのだと思います。まず、この人は新しいものに対する不安が強いのだと思います。こういうタイプの人は、たとえ私たちが美味しいと思っている食べ物でさえも拒否が出てしまうことがあります。予測できないこと、新しいもの、突然の変化には拒否が出てしまうので、”予告”が大切です。

 具体的には、買ってきたものを突然提示するのではなく、提供できる日をカレンダーなどで提示し、買う前にカタログで選んでもらうなどします。問題がなければ、実店舗でもいいかもしれません。

 いずれにしても、前提としてスケジュールの理解、カレンダーの理解を取り組むことです。

2.利用者同士でうまく関われない

Q:スケジュールの提示などをして行動も落ち着いてきた生活介護の事業所に来ているAさんがいます。独り言なども出てそれを楽しむBさんもいるのですが、Bさんの関わり方があまりに度が過ぎるとAさんは調子を崩してしまいます。お互いにどうすればいいでしょうか。

A:利用者の人が適用できる環境設定に取り組まれたのはとても良かったですし、少しでも利用者同士の交流を持てるのも良いと思います。しかし、度が過ぎると調子を崩してしまいバランスが取れない。まず、AさんとBさんの両方に適切なコミュニケーションや距離の取り方を教えてあげる必要があるのではないでしょうか。Aさんには拒否の表出コミュニケーション、Bさんには拒否されたときは言うのを止めるソーシャルスキルトレーニングです。職員が相手になってロールプレイなどをして取り組んでみてはどうでしょう?

3.風呂に入らない人をどうしたらいいか?

Q:入所施設です。理由はわからないけれども、急に風呂に入らなくなった人がいます。どうしたらいいでしょうか?

A:問題が起きる時は必ず原因を探って、それに基づいて介入するのがいいのですが、原因がわからないと難しいです。何かきっかけはないですか?風呂に入らないということは、その行動を弱化した原因があるはずです。

Q:それがわからないのです。時々、家に帰省するのですが、家では入っているそうです。施設でも以前は月曜から金曜日まで毎日入っていました。それが金曜日だけ入らないという日が続き、やがて全く入らなくなったのです。

A:過去の出来事をさかのぼって観察することはできないので、これは予想でしかないですが、何かはわかりませんが過去に何か風呂で嫌なことがあったのでしょう。それは職員が気づかないような些細なことかもしれません。でも、自閉症の人の特性とも相まって嫌なことの記憶は1回で確立され、強い影響を与えます。また嫌な出来事は、伝染病のようにいろいろな刺激と結びついてしまいます。

 現在の事実は、家では入るのに、施設では入らないということですから、まず、なるべく家の入浴環境に近い状態を作ります。まず一人でゆっくり入るところからスタートします。さらにいきなり、服を脱いで裸になって入浴というステップを踏まず、少しずつ嫌悪性を取り除くようにします。今日、お話したシェイピングの方法を取ってみてはどうでしょう?最終目標が、風呂で入浴すると決めて、現在取り組める行動から、最終目標までの細かいステップを刻んで、少しずつゴールに近付ける方法を取ります。

4.自分のルールを押し付けて職員の注意を聞かない

Q:児童養護施設に入っている高校生の女の子です。知的に遅れはないアスペルガー症候群という診断を受けています。朝6時に散歩に行きたいと言うけれども、9時までは建物にいなければならないという暗黙のルールになっています。今は行けないと伝えると癇癪になります。愛着障害も持っています。どうしたらいいでしょうか?

特集記事
近日公開予定
今しばらくお待ちください...
最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
0

(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

お問い合わせ先

〒804-0072

日本福岡県北九州市

戸畑区元宮町7-16-102

電話&ファックス

TEL:093-287-7662

FAX : 093-330-4239

メール

simamoto66@gmail.com

​担当:福田

合同会社

  ABC研究所

 

代表:今本 繁

  • Facebook Social Icon
  • Twitter Social Icon
  • Google+ Social Icon
  • YouTube Social  Icon