私立小学校での発達障害についての話

 先日は冬休みが終わる前の私立小学校の職員向けの発達障害の研修会で話をきてきました。漢字の練習をさせても、なかなか覚えないので、これは本人の努力不足なのか、何か発達の遅れが関係しているのか判断がつかないということでしたので、主に学習障害(LD)について話しました。

 受験を受けて入って来る学校なので、知的障害などは疑われませんし、家庭での教育環境の問題は、ほぼないと考えられるので、教員の方の主訴は発達障害、LDによるものなのだろうと推測しました。学習障害によるものなのかは、学習を困難にしている様々な下位スキル(認知スキル)があり、それをアセスメントすることがまず第一です。発達障害のお子さんには、集団での一斉授業は合わないので、個別や小集団での指導が必要なこと、アシスタントティーチャーをつけることなどを話しました。また、その認知スキルをボトムアップで訓練する方法論についても紹介しました。

 研修の後で質疑応答の時間を取ってくださいとの要望があったので、講話は少し早めに切り上げて、質疑の時間をたっぷり取りました。

 診断を受けている子どもは専門機関にもかかり対応がしやすいけれども、保護者がそういう所を受けたがらない場合にどうしたら良いか?という質問がありました。その先生は2年生の担任でしたが、低学年のうちは問題が目立たないので保護者も焦りがないかもしれません。もっと大きくなってから問題が目立つようになり、保護者が専門機関を受けるようになるかもしれないから、それまでは保護者に寄り添いながら話を聞いてあげると良いと思います。

 3年生の先生は、漢字の反復書写による学習について質問がありました。私の講義のようになるべく、文字だけを反復せず、意味を理解させるために絵やイラストを活用しているとのことでしたが、たくさん文字を書くことの動機づけが足りないとのことでした。興味関心のあるキャラクターや物事を使って、文字の学習に繋げてみるのはどうでしょうと提案しました。

 また他の3年の先生が、努力不足なのかLDなのわからないと質問されました。家でも漢字の書き取りの宿題を出すが書いてこないのだそうです。おそらくLDがありそうだけれども、どんな認知スキルに問題がありそうか、本人の様子を観察したり聞き取りをして確かめてみることをお勧めしました。そのためのチェックリストもあるので、その紹介もしました。でもよく聞いてみると手の不器用さがあって字が汚いとのことでした。もう少し大きくなったら、手書きよりも将来的にはワープロを打ち込む方が仕事では重要になってくるのでIT教育の方にシフトすることを考えてはどうかと提案しました。

 1年生の先生は、協調性運動障害のことを質問されました。他児よりも、明らかにバランスのとり方、身体の使い方に不器用さが見られるが、経験と練習により徐々に上達していく子もいるとのこと。そのように通常の練習で克服できるのであれば、発達障害の範疇ではないということなのだろうと思います。そして学習能力の向上には机上の学習だけではなく、身体の使い方や運動も重視した方が良いこともお伝えしました。

 途中、外国の先生もおられて、突然英語で質問されたのは、少しびっくりしました。私の経歴の中で米国での留学経験があるからというので英語で質問されたとのことでした。私もここ数年は英語でのやり取りがほとんどなかったので、何とか聞き取りながら、答えさせていただきました。その先生の質問は、発達障害のお子さんは、行動上でしか判別ができないようだが、自閉症やADHDのようにラベリングすることに意味があるのか?と言うような主旨だったと思います。

 私自身は、ASDやADHDなどの症状は、医学的な明確なマーカーはなく、行動上の特徴でしか判断できないことは認めます。また個性や性格のようなものとも捉えられるのですが、対人関係や周りとの不適応が著しい場合、そのような個性のギャップが激しい場合に発達障害と言えるのではと答えました。さらに、そのような診断名は、医療的、福祉的な支援を受けたり、子どもを保護したり、自身が理解すること、周りが理解することで、余計なストレスを緩和し、その人らししく生きる上で大事になってくるのではないかということを伝えました。その先生は、それは理にかなっていると納得されました。

 こういうことがあると、英語のスキルを維持するための普段の努力を行う動機づけに繋がります。改めて英語をブラッシュアップしようと思いました。

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(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

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