強度行動障害の人を受け入れている施設2

10月の中旬は、札幌市の発達障害者支援センターのコンサルでしたが、センターの母体となっている法人の生活介護の施設ぼぬーるに行ってきました。コンサルの前に建物の中を見学させていただきました。

地域で行き場がない強度行動障害の人を引き受けていることでしたが、新規の刺激である私や数名の見学者がいても、利用者の方はとても落ち着いて活動していました。この施設では、所長はじめ職員の方たちが一貫してTEACCHプログラムの構造化のアイディアを取り入れて、実践を行っています。

利用開始当初は、落ち着かないですが、数カ月も経つと今のように落ち着いてこられるそうです。まず、どの利用者もアセスメントを行い、どのような視覚的支援が合っているかに基づいて支援を組み立てていきます。障害区分は、5か6の方たちばかりで、スケジュールは具体物や具体物をボール紙に貼りつけた半具体物を使っていました。具体物のスケジュールも、移動した先で使うもの(機能的具体物)よりも、移動先の箱にマッチングして入れる物やミニチュアを使っていました。

なるべく人が介入することを避けながら、本人が自立して行動できるようにスケジュールや活動の構造が工夫されていました。裏を返せば、彼らの行動障害の多くが、他者の言語指示や不用意な介入によって混乱していたために生じていたということになります。ピカチュウの絵が目印の黄色のスケジュールの写真は、3段になっています。上から順番に取ることを身につけてもらうために、紙で覆いをつけ一番上のスケジュール物を取ると、その紙がめくれて2番目のスケジュール物が見えるようになっています。順番に取る工夫として透明なシートでカバーしてあるのは見たことがありますが、このように工夫したものは初めて見ました。

重度の認知の遅れのある人の作業は、自立ワークとかをよくやっていると思います。しかし、ここではなるべく、通常の作業の工程を徹底的に構造化して取り組めるように工夫してあります。上左の写真は、空港のお土産バッグに取っ手をつける作業、右は布を割いてウェスを作る作業です。布を割くのが好きな人には最適の作業で、割きやすいように切れ目を入れてあります。

こちらは、トイレで使うトイレットペーパーを詰まらせる人のために一拭きする分のペーパーの長さに切った物を折りたたむ作業の具体物の手順書とジグの例です。自分で使うトイレットペーパーの準備を作業の1つとしてやってもらっているのです。なんでも、支援者がやってあげるのではなくて、利用者が自立して取り組めるように支援することの大切さがわかります。

他にもカムダウンの場所、運動の部屋、食事や休憩の部屋などもありました。

時々構造化された施設に行くと、迷路のように厳密に仕切られていることがありますが、重度で行動障害のある成人施設にしては、割と明るく開放感のある構造になっているという印象です。職員も淡々と整然と支援をされているので、利用者の方も落ち着いていました。

一方で、このような支援を見た人の中には、”無味乾燥でロボットのようだ”というように批判される人もいるのかもしれません。でも、そう言う人には、強度行動障害によって本人や家族、職員が傷つきながら支援するのと、本人に合わせた支援を行い落ち着いて過ごせるのとどちらがいいのか?利用者のことを大切にし自立を尊重しているのはどっち?ということを考えてもらいたいです。

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(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

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