強度行動障害の人を受け入れている施設1

先月、愛知県にある「たくと大府」という生活介護事業所の見学に行ってきました。こちらは今年の5月に名古屋でティーチ研究会の研修会に講師として呼ばれた際に、世話人の林さんに強度行動障がいの事業所をやっているので来てみませんかと言われて行ってみました。まだできて2年余りの新しい事業所です。地域で強度行動障害の人を受け入れる施設をTEACCHの支援の考えを元に運営するという目的で建てられたものです。ほとんどの利用者が自閉症の方です。そのため支援のノウハウを持った林さんが所長として招かれました。

林さんは、環境を構造化することでほとんどの強度行動障害の人が一定の水準まで落ち着きますとおっしゃいます。ですから建物を建てる設計の段階から林さんは関与されています。構造化とは、自閉症の人が、混乱ないわかりやすい環境を整えることで生活への適用を高めるための支援です。

林さんは以前から強度行動障害の人を受け入れている施設に勤務された経験から、新しい施設で取り入れたものを紹介してくれました。

1.施設全体が回廊になっている

 林さんはこれまでの経験から、行き止まりのある袋小路の作りよりも回廊になっていてぐるっと入口から一周回って戻れる作りの方が良いと言います。所長として全体を見て回る時も、行って戻る必要がないし効率よく回れるそうです。また利用者の方が調子が悪くなって走り回ったとしても、終わりがないので疲れて自然に治まるそうです。建物の中央は芝生の運動エリアになっていて巨大なトランポリンも設置されていました。

2.動線を短くコンパクトなユニットに区切る

 いろんな機能の部屋をあちこちに作るのではなく、5,6人の小さなユニットを4つ作っています。2ユニットごとにトイレもあるのであちこちに移動して人とぶつかることが少なくなっています。

3.少ない人数でも支援のしやすい造りにしてある

 ユニット毎に1人、2ユニットを挟んだトイレとの間にある廊下に1人ついています。それ以外に補助の人がいます。廊下からは2つの両方のユニットの中も見渡せるので、トイレの介助以外に必要な時に支援に入ることもできます。

4.部屋は使いやすい長方形、グループと小部屋を用意

 林さんは正方形の部屋よりも入口から長細い造りの長方形の部屋の方が使い勝手が良いと言います。それは正方形の広い部屋だと真ん中がデッドスペースになりやすいからだそうです。また真ん中に衝立を立てたりすると、視界が遮られてしまうというデメリットもあげていました。

部屋の水屋は1つだけにして、水のこだわりの強い人も多いので水量も少なくしてあります。

5.シンプルで余計な刺激を除く工夫

 余計なものは隠す造りが随所に見られます。自閉症の人がこだわりやすい鍵や消化器、スイッチ類はカバーがついていて隠れるようになっています。また机などはオーダーメイドですぐに壊れない丈夫な造りになっていました。

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(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

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