行動モーメンタム2

 去年の7月8日の記事で「行動モーメンタム」という概念を紹介しました。行動モーメンタムというのは、行動分析家のNevinらが1980年代に提唱したもので行動の変化のしにくさ(変化抵抗)を表します。発達障がい児が他者からの指示に従わない行動(非応諾行動)も変化抵抗と言えるものです。逆に応諾行動が身に着けば、指示に抵抗を示すといった行動問題も減少することがわかっています。

 先日、ある通園施設に通っているお母さんからこんなエピソードを聞きました。歯科医院に行く事に対して抵抗を示す3歳児のお子さんについてです。家から歯科医院に出かけるのに「歯医者行くよ」と言っても頑として受け付けないので、「歯医者行ったら、アイス買ってあげるから」と「楽しみは後回し」の方略を使ってみたそうですが、「行かない」の一点張りです。

 そこでお母さんは、苦し紛れに「まずパン屋に行こうか、それから歯科医院ね」と提案しました。すると「パン屋行く」と言いました。私は、パン屋には行ったけど歯医者は拒否したかなと思いましたが、結果はなんと・・・後日、結果を聞いてみると「パン屋に行った後、ちゃんと歯医者に行けました」という報告を受けました。

 行動モーメンタムの研究では、応諾行動の後に非応諾行動を随伴すると、後者に対しての抵抗が少なくなるという結果を示しています。この場合、「パン屋に行く」というのが応諾行動で「歯医者に行く」のは非応諾行動で、研究結果と同じことが起こりました。私は、長らく低頻度行動(歯医者に行く)を強化するために好子(パン屋)を後に随伴することが大事と思っていましたが、行動モーメンタムのように先行子操作も効果的なんだと最近になって感じています。自閉症の人には、全般的に先行子操作がうまくいくことが多いのですが、改めてそれを実感しました。

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(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

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