感情の罠と方法論の罠
先日は、家族と行動障害の当事者の各支援機関のメンバーが集まって支援会議を行いました。ある支援の手続きの一つにレスポンスコストがあったのですが、これが家族の方にはどうもしっくり来ないようでした。レスポンスコストとは、当事者の方が、不適切な行動をした直後に好子を取り去ることで不適切行動を弱化する手続きです。 実際には、不適切行動が複数回起こっており直ぐに無くせないとか、取り去る好子が限られている場合は、条件性好子であるトークンを取り去るという方法を使うとうまく行くことが多いです。
そこで三枚なり五枚なりのトークンがなくなったら好子が無くなるという方法を手続き化したわけでが、これが議論を呼びました。家族の方は、トークンが無くなる前の2回なり4回は不適切行動を許してもよいのか?家族はその被害を享受することになるのか?そもそも子どもは、この手続きが理解出来るのか?それよりも、トークンを貯めてご褒美のような達成感を得られる方が良いのではないか?など感情的に訴えて来られました。
私はそういった発言を一切否定せずに白板を使って具体的にどうしたらいいかを図示しながら説明しました。時間はかかりましたが、結局レスポンスコストの方法に落ち着きました。
行動分析学は、見た目の印象や感情に引きずられずに行動の問題を客観的に捉え問題解決を図るのに役立ちます。でも当事者や家族の気持ちや感情を尊重しないととんでもない支援になると改めて思いました。