やまぐち総合教育支援センターABC研修

 今日はやまぐち総合教育支援センターで教員の皆さま向けの研修会講師を務めさせていただきました。以前の職場のPECS関連でつながりのある先生の紹介で今回の仕事を引き受けることになりました。私も直接その先生に会うのは退職後始めてでしたが元気そうで何よりでした。

 「コミュニケーション支援と行動問題」と言うテーマで話をしました。その趣旨は3つです。行動問題とコミュニケーションは密接に関連している。子どもや生徒を理解するには行動を観察すること。行動は環境との相互作用で起こり、前後の状況変化を観察することです。それに関連して、ABC分析、課題分析、代替コミュニケーションの指導方法、観察記録による検証について紹介しました。

 たとえば、このDさんは成人の施設でリサイクル作業に従事していますが、作業途中でふたの開かないペットボトルに出くわすと歯でふたをくわえて回すということを繰り返していました。あごの力は握力よりも何十倍も強いのでそのような行動を身に付けてしまったのだと思いますが、不衛生という点では行動問題です。

 ここで行動問題に対して一番よく取る手立ては、それを止めようとすることです。しかし本人の意向を無視したやり方はうまくいかないどころか、さらに酷い行動を誘発することが多いのです。その結果、私たちはその行動を許容しさらに酷くなった行動を強化してしまいます。これが行動障害が発展し維持するメカニズムと考えられます。

 この悪循環を断ち切るには、本人の意向を汲みつつ適切な代替行動を支援するのが得策なのです。この施設では、支援者に援助を求めるコミュニケーション行動を支援することにしました。その結果、この援助を求める行動は、歯を当ててボトルを回す行動に完全に置き換わってしまいました。

 最後に質問の時間も設けられていて、よそではあまり質問が出ないのにすぐに手が上がりました。山口の教員の方々の勉強熱心さを感じることができます。私が紹介した事例にいらないものが身近にあるとすぐに物を投げてしまう小学部3年の男の子の話をしました。先生は、嫌子の回避というのはわかるが、周りの子どもが反応してしまうので注意獲得でやってしまう場合どうしたらいいか?という質問をされました。私は、注意獲得にならないようにするためになるべく反応しないようにするのですが、他の生徒が反応してしまうとどうしようもないというように答えました。その時は十分にお答えできなかったのですが、後で考えると注意獲得により不適切なかかわりが形成されたお子さんには、1対1での遊び場面を設定して適切なかかわりや遊びを教えることも大事だと思いました。

 もう1つはトークンについてで、トークンは外的動機付けだが、内的動機づけを促すにはどうしたらいいか?と言う質問でした。もちろん、適切な行動を獲得する手段としてトークンを用いる場合は、少しずつ薄めていく必要があります。それから内発的動機付けとは、活動や作業に達成感が得られるようにすることです。ということは、まずその生徒さんにとって興味が持てる活動を探すこと、成功できるように行動を教えることが重要なのではないかと思います。

 また講義の後にすぐに教員の方が来られてアセスメントを取られていました。やりっぱなしにしないできちんと評価する姿勢には感心しました。私からは、もっと時間を取って演習する機会があったらよかったと感想を述べました。教員の中にはABAに熱心な方もいて実践するのはいいが、保護者との協力関係が疎かになってトラブルが生じることもあるそうです。連携や協力も大事な要素ですが、講義では強調していなかったのが反省点です。

以下は受講の先生方の感想の一部です。

●講義の始めに今本先生が「行動問題はコミュニケーションとの関係が深い。行動を理解することで子どもを理解する』と言われたことが印象に残りました。子ども理解の視点・手段の一つとしてABC分析を活用していきたいと思いました。勤務校の他の先生方にも、今回の講義を参考にし、子どもの行動の見方について伝えていきたいと思います。 ●これまで、さまざまなところで聞いたり見たりしたPECSやABCについて体系的に整理して示していただき、頭の中がすっきりしました。 ●行動問題について考える際に、本人の気持ちのアセスメントが大切だという話があり、ついつい指導者本位になりがちな日常を振り返り、気を付けたいと思いました。 ●具体的な例を挙げて説明していただいたので、とても分かりやすかったです。分かっているつもりでも、一つ一つの行動を細かく分析すること、そしてきちんと記録をとっていくことを改めて考える機会となりました。クラスの子どもたちの行動を見直して2学期からに生かしたいと思いました。ありがとうございました。

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(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

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