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自発的代替コミュニケーションを教える最初の一歩

絵カードを使った意思表示の代替法を子どもに指導する最初に大事なことは”タイミングを逃さない”ということです。支援者の多くは、なぜだか”絵カード”の方を大事なもののように感じてしまうのか、初期の段階で絵カードに注目させ「これを渡してね」みたいな説明をしてしまうのです。自発的コミュニケーションを教える際に重要なのは絵カードではなく本人の”自発”です。より具体的には本人の”自発的な行動”です。本人の何らかの”自発的な行動”を絵カードを使った”自発的コミュニケーション”へと変化させていくのです。絵カードはあくまでも手段に過ぎず脇役なんです。

たとえば、写真のお子さんは目の前のシャボン玉に対して明らかに興味を持っていることがわかります。それはシャボン玉に直接手を伸ばしているからです。これがこのお子さんの自発的な行動です。そして自発というのは本人が最初に何かを始めるということですから、支援者を含めた周りの大人がとやかく言うのはもっての外です。子どもが自発するまでは支援者はじっと我慢して待たないとけません。

でもここで、大人しくじっとしていて自発のそぶりを見せないお子さんもいます。おそらくそういうお子さんは、それまでの躾や指導で「大人の指示を待つ」という教育歴を持っているからなのでしょう。そういう時はちょっとした工夫が必要です。シャボン玉のストローを口に近付ける、吹くそぶりを見せるなどで誘ってみるのです。そしたら写真のお子さんのように手を伸ばしてくるでしょう。

そのタイミングで後ろの手助けをする人(プロンプター:P)が、お子さんの手を持って①絵カードを取る②相手に手を伸ばす③絵カードを手渡す、一連の動きを手助け(プロンプト)するのです。要求には必ず結果が伴わなければなりませんから、相手(コミュニケーションパートナー:CP)はすぐにシャボン玉を吹いてあげなければなりません。ここでもタイミングが重要でCPは”すぐに”シャボン玉を提供する必要があります。どのくらいすぐかとうと0.5秒です。

このタイミングによる動きを学ぶには、本を読んだり、じっとして説明を聞いたりするだけでは身に付きません。実際に体を動かして練習して身体で覚える必要があります。あらゆる運動競技や楽器の演奏、調理など体で覚える学習はたくさんあります。究極的にはプリント学習や机上学習など頭脳労働も全て体を動かすことです。昨今、脳科学や認知科学、情報理論、人工知能などがもてはやされて、脳や神経系がスポットライトを浴びていて、行動の重要性が見失われている気がします。

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