小学校通常学級1年女児への介入

最新の行動分析学研究をパラパラと読んでいます。固い科学雑誌で大学での実験研究から応用まで幅広い内容が載っています。最近は、現場の実践研究が増えて実践家に役立つ内容が豊富になってきた印象です。その中で通常学級での取り組みである庭山・松美(2017)行動分析学研究31, 1, 55-62を紹介します。

広汎性発達障害の診断を持ち, 新版K式でDQが79の女児です。通常学級に在籍し授業中の頻繁な離席や授業妨害(大声、板書消し、教師を叩く)がありました。担任は、4年目の20代男性教諭です。大学のABA研究会に出席にも出席し、著者にも授業中に児の行動に即時フィードバックは無理と訴えていました。ABC分析で教師の注目(着席するように注意する)が67%で、15分のタイムサンプリング8セッションで授業参加率は39%。教師の注目が5分以上空くと問題が生起するので5分で振動するMotivAiderという機器を設定し介入することになりました。

振動を合図にして教師は「頑張って書いてえらいね」、「ちゃんと聞いているね」、〇つけなどをしてほめました。着席しているけど授業に参加していない時、たとえば手遊びをしている時は「この問題解こう」など個別に声かけをしました。また授業妨害に対してはなるべく注目を与えずに阻止するように教示しました(これが難しいと思います)。たとえば、物を投げようとしている際に視線を合わせずに物を手の届かない所に移動させるなどです。

結果はFigure 1の通りです。折れ線グラフが本児の逸脱行動で、棒グラフが担任の本児の適切な行動に対する注目行動の割合を示しています。Baseline(ベースライン)は機器を使わない時でIntervension(介入)が機器の使用時を表しています。機器の使用によって担任の適切な注目行動が増え、本児の逸脱行動が減少していることがわかります。

Figure 2は本児の授業参加率を表しています。授業中に求められる行動としては、教科書の指定されたページを見る、指定された問題・課題・活動に取り組む、ノートを取る、教師や児童が発表している方を向く、発表するなどで、それが増えています。不適切な行動に注目して注意するよりも、適切な行動に対して意図的に注意を向けて積極的にほめていく対応(分化強化)が効果を発揮した事例です。

タグ:

特集記事