環境の構造化は人ごとに成長に合わせて変化する

先日、自閉症支援に熱心な職員さんと話す機会がありました。彼女は元の職場を離れ自閉症の方への構造化による指導を取り入れている幼児と学童の事業所に最近入ったばかりなのですが、どうも活動場所ごとの境界が全て段ボールや衝立で設定されていて迷路のようなたこ部屋になっているそうです。年長のお兄さんやお姉さんの部屋もそうなっているそうです。

物理的構造化というアイディアは、自閉症の人にとって場所と空間をわかりやすく設定するための工夫のことを指しますが、具体的な工夫としては、第1に活動毎に場所を設定し1:1対応にしたらわかりやすいというものです。たとえば家の中でいうと食事(活動)をする食卓(場所)、歯磨き(活動)をする洗面所(場所)が分かれて1:1対応になっていると思います。そうするとその場所に行けば自然に活動が自発されるようになります。

逆に場所が多目的に使われれば、行動統制が難しくなり混乱を招くことになります。たとえば、幼いお子さんのいる家庭だと親の都合でリビングという1つの場所で着替え、食事、歯磨き、テレビ視聴、勉強など様々な活動をさせてしまうかもしれません。ふつうの大人は1つの場所で複数の活動を同時に行うことに慣れています。特に女性は男性に比べてその能力にたけていることが脳科学の分野でも証明されています。たとえば、料理をしながら電話に応じるなど朝飯前だと思います。

しかし自閉症の人は、ふつうの成人女性の正反対で極端な特性を持ってます。それはシングルフォーカスと呼ばれる特性で、一度に1つの物事にしか注意が向かないし、ある物事から別の物事への切り替えに時間がかかります。だから活動と場所を1:1対応にすると集中力が増します。上記のリビングでの複数の活動の例でいうと、着替え、食事、歯磨き、テレビ視聴、勉強などの活動の場所は別々にします。

ここで「うちは狭いから1部屋ずつ場所なんて作れません」と言われるかもしれませんが、何も1部屋ずつ用意する必要はありません。限られた部屋の中でそれぞれのコーナーを作ればいいだけです(ここで歯磨きはちゃんと洗面所でさせましょう。大人も子どもの教育上は洗面所でしてください。あと、お父さんもお風呂を出て裸でリビングをうろうろしていると子どもが真似しますから脱衣場で着替えるようにしましょう。)

このコーナーを作るときに、構造化を実践する多くの人が陥る罠は、コーナーの境界を衝立で仕切ろうとすることです。衝立は必ずしも必要ではありません。各コーナーの区別は、その場所に置いてある家具だけで十分な人もいるし、衝立で仕切らなくても床に線を引くマットなどで色分けするだけで十分な人もいるのです。まず各コーナーを設定して衝立をおかないで様子を見てください。どうしても衝立が必要であっても、段ボールでの囲いが多くなり過ぎるととても不自然な構造になります。高さなども検討し家具で仕切るなどできるだけ自然な設定を工夫しましょう。

一般論でいうと低年齢で知的にも自閉症の症状も重度になるほど、コーナーの境界に衝立などが必要になるケースが多いと思います。それは注意散漫さの特性とも関連しますが、成長とともにそのような設定が必要くなる人もいます。そういう場合は、思い切って衝立を外す勇気も必要です。ただ必要なのに無理に外さないように気をつけましょう。

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(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

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