心の発生と進化

 プレマックという心理学者は、「プレマックの原理」と「心の理論」で有名です。某大学の認知心理学の先生のゼミで紹介されて興味を持ち読むことになりました。私自身は、新行動主義の中でもスキナーの行動分析学を研究や臨床実践の基盤に置いています。私は長い間、プレマックは行動主義心理学者と思っていましたが、認知心理学者であることがわかってとても意外でした。

 彼は、ヒトの知識の基本として様々な「モジュール」の概念を提出しています。物理モジュールは物理的な動きを予期するもの。心理モジュールは能動的な生物の動きを予期するもの。生物モジュールは生物の一般的な形態を認識するもの。数のモジュールは数量の認識や計算などをつかさどるもの。空間モジュールは空間の配置や自身の位置の定位を司る能力。音楽モジュールは音感、テンポ、メロディなどの認識を司る能力です。

 プレマックは、主に乳幼児、チンパンジーなどの類人猿やサルなどを被験体とした実験研究を検証しながら「モジュール」の概念で説明を試みています。実験研究の引用は、自身の有名なチンパンジーの研究がほとんどですが、その他にもイヌやイルカ、カラスなどの鳥類から昆虫などの研究も引用し、それぞれの実験結果はとても興味深いもので、言語や概念の習得、その基礎となる弁別学習について深く理解するきっかけとなりました。言語のない被験体からの反応を引き出すために馴化と脱馴化という方法を用いること、模倣が過去の再現であるということ、イルカや類人猿が簡単な文法を学習できること、物の名前を学習することが情報の集約をもたらし、さらに文法など複雑な概念の学習に結びつくこと、様々な見本合わせ課題によって思考・推論・因果関係の理解・カテゴリーやアナロジーの学習を促すことができることなどとても参考になりました。

 しかし、表象などその他の仮説構成概念もそうですが、心的現象を説明する際に用いられるモジュールを含めた概念は、はたして有用なのだろうかと疑問に思いました。第一に実験事実の説明の効率性の問題です。たとえば、物理モジュールに関して、「乳幼児は通常の滑らかな物理的運動を予期し、そうでない運動はあり得ないものとして予期する」とあります。これは、自然な環境で提示されてきた物理的刺激や運動の知覚経験、学習歴から生じるものであろうけれども、提示される刺激や反応との機能的関係性を記述し分析することで十分ではないのだろうか。またそのような概念は、仮説されたされたもので実態のないもの、検証可能ではないものです。ある実験事実や現象に対してつけられたラベルです。素朴心理学のように、実態のないものを説明概念に用いたり、その現象の原因のように論じられたりする危険性はないのだろうか。特に言語や心の問題を考える際に、実際の現象を記述する際に用いられる言語と研究対象となっている言語が混同されたりはしないのであろうか。

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