自閉症スペクトラム障害の人には視覚的な情報提示が有効だが視覚障害が合併している場合の代わりの方法
今日は福岡視力障害センターで、発達障害の学生さんへの対応について話してくださいと依頼を受けて、話しに行きました。場所は福岡市西区今宿にあり、九大学研都市駅から車で15分ほどの所にあります。建物の外は、点字ブロックがありますが、建物内は点字ブロックはありません。全盲の職員お1人で4階の講義室まで案内していただきました。時々、壁や手すりを触って確認されていましたが、ほとんどスーっと廊下を歩いて移動されますし、エレベーターのボタンまで一直線で移動されます。すたすたと歩いてスムースに移動されるので感心して、「建物内は空間を把握されているのですか?」と聞くと「そうです」と言われました。
さまざまな事例に応じて、準備したお話をしましたが、そもそも視覚的支援というものがうまく使えないので、どのような工夫をすればいいのかを調べてみました。
1.聴覚的支援
•音声メッセージ:重要な情報を録音し、再生することで情報を伝える。音声メッセージは明確で一貫性があることが重要。
•音楽やリズム:特定の活動やスケジュールを音楽やリズムで知らせることで、聴覚的な手がかりを提供
2.触覚的支援
•触覚教材:特別な触覚教材(点字、本、触覚図)を使用することで、情報を伝える。
•触覚スケジュール:活動スケジュールを触覚的に表現したカードやオブジェクトを使用することで、次に行うべきことを示す。
•身体的なガイド:安全で適切な場合、手を取ってガイドすることで、次に行うべき動作や場所を教える。
3.日常生活のルーチン
•一貫性のあるルーチン:一貫した日常のルーチンを確立することで、予測可能性を高め、不安を軽減する。
•口頭指示:明確で一貫した口頭指示を使用して、次の活動や行動を伝える。
4.技術支援
•音声アシスタント:スマートフォンや専用デバイスの音声アシスタント機能を利用して、リマインダーや指示を提供する。
•点字ディスプレイ:情報を点字で提供するための電子点字ディスプレイを利用する。
などです。
研修の最後に、質疑応答で教員の方から質問がありました。鍼、灸、マッサージの指導をするときに「丁寧にしてください」、「患者さんには適度に声かけしてください」、「親切に接してください」と助言するのですが、生徒からは「わかってます」、「やってます」と返される。講義では、発達障がいの人は、抽象的な指示がわかりにくいということだが、どう伝えたら良いか?
私は、言葉で説明するだけではわかりにくいので、良い例や良くない例を実際にモデルを提示して生徒さんの理解を促したり、実際に施術をしているその場で、即時に良い取り組みには「それいいよ」とフィードバックしてあげるのが良いですよとお伝えしました。元巨人の松井氏が当時の長嶋か監督から受けた素振りの指導を例に説明しました。
長嶋監督は、毎試合の後に居残りで素振りの指導を行ったそうです。良いスイングの時は、独特の音がするそうで、その音がしたときにだけ長嶋監督が「その音いいよ」と、その場で松井選手にフィードバックを返したそうです。すると徐々に良いスイングが定着し、皆さんもご存じのように大打者として活躍したのでした。
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