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令和4年 第2回 強度行動障害医療研究会 報告

今日は、今年度2回目のオンラインの会合があり、4人の登壇者によるシンポジウムが行われました。医療からは會田医師、厚労省からは山根専門官、在宅支援について鳥取大の井上教授、看護からのぞみの園の根本氏が、それぞれのお立場での発表がありました。


1人目の會田医師は、肥前医療センターでの取り組みの紹介と、現状と課題について語られました。課題としては、長期入院で地域移行が進まないケースがあります。その要因として、移行支援の仲介役として、行動援護や重度訪問介護などのリソースが足りない、地域での受け皿のリソースが足りないことや連携が進まないことなどがあげられました。それらを改善するには、入院の時点で連携をとっておき、様々な支援の手立てやツールを共有しながら技術支援や移行支援を進めていくことなどをあげられていました。


2人目の厚労省の山根専門官は、障害福祉課に所属し、全国で行動関連項目10点以上の成人が6万8千人(利用する福祉サービス間で重複あり)あまりいらっしゃることなど、様々な統計資料を提示されながら、現状と課題を述べられました。平成25年、26年から始まった強度行動障害養成研修も、修了者が8万人を超えているけれども、基礎と実践の両方で24時間費やしても、十分な力量を身につけるのには十分ではありません。中核的な人材の養成(特に福祉分野)や集中支援(専門的なアセスメントと支援)のための施設の整備など、ソフトとハード面での体制整備のための法整備やそのための準備を進めているようです。提言として、特定の施設でみる体制よりも、複数の施設でみる体制作り、施設で悪化した人を集中支援施設へ、回復した人を地域に移行する仕組み、入院から地域への移行のための医療・福祉連携を進めることなどが述べられました。


3人目の井上教授は、鳥取県での強度行動障害の取り組みの中でも、特に在宅支援を中心に紹介されました。57万人で日本で一番少ない人口の県で、知的障害の人が約6千人で、旧法の行動障害基準10点以上の人が約3%と少し増えているそうです。年代ごとの居住先割合の資料も提示されましたが、20,30代までは在宅が多く、40,50代を境にGHや入所に移行します。若年層は、在宅が多く、家族も疲弊していることから、在宅支援が重要だとわかります。鳥取県では、県の予算で、中核人材(リーダー)の養成の研修を行っています。参加は、強度行動障害の基礎-実践研修を修了し、事業所の中で指導的立場にある人が条件です。養成されたスーパーバイザーが、在宅支援などに派遣されます。年間10ケースみるために300万円の予算を確保しているそうです。成功事例から失敗事例まで4ケースほど紹介されました。


失敗事例は、ご本人の状態像が激しすぎて事業所への移行が失敗した時に、保護者の方が過度に申し訳なく感じて、移行をあきらめて家でみることになってしまうということでした。


後のディスカッションの時に山根専門官から「訪問するコンサルタントの適性には、どんなことがあげられますか」という質問に対しての井上教授の応答は、

①専門的なアセスメントができ(機能アセスメント)て、行動の意味をわかりやすく説明できる

②保護者の心理的なケアができる(臨床心理的なトレニーニングが必要)

③機関連携や支援チームのマネジメント

④専門的な応用行動分析の基礎知識とスキル

でした。特に在宅支援においては、②の保護者の支援ができることが大切と述べておられました。


4人目の看護の立場の根本さんは、のぞみの園に所属される看護師です。冒頭で、この分野での看護師の役割は、多少自虐気味にあまり目立たないとおっしゃっていましたが、そんなことはないのにと思いました。私も短い期間でも病院で働いたことがありますが、看護師の方は、医療現場で、当事者や家族の支援に当たる上で、非常に重要なポジションです。プレゼンの中では、実際の看護の重要な役割について説明されていたので、とても勉強になりました。発表の中で私が気になったのは、服薬の調整についてです。會田医師の強度行動障害の本を引用されて、状態が良くなったら、減薬すべきなのに過剰に投与されることが多いこと、時期による状態像の変化に応じて量を加減すべきと述べられました。一方で、病棟や施設での服薬管理は1ユニット10人でも、服薬作業に従事する人が28人で、延べ4時間もかかる複雑な業務なのだそうです。こうなるとAIを導入して管理するしかないかなとも思います。個人的には、施設を訪問する際に利用者の人の服薬調整や見直しは定期的に必要だと感じていたので、医師が判断する上で、具体的にどのような情報があったらいいのか、ご本人が直接受診しなくてもそれができるのか、知りたいですね。


いろんな立場での地域支援について、お話が聞けたのは、とても勉強になりました。これらが機能して、適切な支援が行われるようになるためには、それぞれの地域で支援のシステムを整えないといけないと思います。それぞれの地域での強みや弱点を分析して、包括的な仕組み作りをどうやってやっていくのかが課題です。

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