『令和6年度 福岡市民間障がい者施設協議会 行動障がい部会 研修会』開催報告 令和7年3月8日
2025年3月8日(土)、福岡市舞鶴庁舎にて福岡市民間障がい者施設協議会 行動障がい部会主催の研修会「知的に重い人の自己選択を支援する 代替コミュニケーション支援法」が開催されました。今回の研修には、強度行動障害に取り組む事業所の職員12名が参加し、応用行動分析(ABA)に基づくコミュニケーション指導法についての講義と実践的な演習が行われました。

【研修の概要】
本研修では、知的障害のある人が自己選択を行うための代替コミュニケーションの支援方法について学びました。特に、絵カードの意味を理解しにくい人への支援方法について、多くの参加者が関心を持ちました。
講師は私が務めました。私は、応用行動分析(ABA)を専門とし、これまで大野城すばる園や肥前医療センター、ノースカロライナ大学TEACCH部での研修経験を持ち、PECS日本法人社長を経て、現在は合同会社ABC研究所の代表を務めています。
【研修の流れ】
1. 講義セッション
まず、講義で、ABAの基本概念に基づく代替コミュニケーションの役割についての講義を行いました。特に、知的に重い人が適切な自己表現を行うことで、問題行動の減少につながることが強調しました。
具体的なトピックとして
・理解と表出のコミュニケーション
・自立行動(自分でする)とコミュニケーション行動(人を動かす)の違い
・知的に重いASDの人のコミュニケーション課題
・コミュニケーション支援の3つのポイント(文脈、手段、機能)
・代替コミュニケーションの基本的な考え方
・代替コミュニケーションの支援法
2. 実践演習
講義の後、参加者3人でグループを作り、具体的な支援方法を体験する演習を行いました。演習では、
・代替コミュニケーションの支援法の練習
・自己選択を促す支援方法のロールプレイ
などを実施しました。
参加者からは「実際に手を動かしながら学ぶことで、現場での活用イメージが湧いた」「対象者に適した支援方法の選択について深く考えられた」などの感想が聞かれました。
3. 質疑応答
随時、参加者からの質問を受け付け、それぞれの質問に回答しました。たとえば、複数の絵カードを同時に取ったらどうするのか?順番に取ったらどうするのか?
参加者の声
研修終了後のアンケートでは、以下のような感想が寄せられました。
「ABAの視点から代替コミュニケーションを学ぶことができて、大変勉強になった。」
「今後、施設での支援に役立てたい。」
「具体的な事例が多く、実践に活かせる内容だった。」
【まとめ】
本研修を通じて、知的に重い人への代替コミュニケーション支援の重要性が改めて認識されました。適切な支援を提供することで、自己選択を促し、結果として行動問題の軽減につなげることが可能であることが実感されたいと思います。
今後も、福岡市民間障がい者施設協議会 行動障がい部会では、現場で役立つ研修を継続的に開催していく予定だそうです。支援者の皆様が日々の支援の中で直面する課題を解決できるよう、実践的な研修を提供しています。
研修終了後は、お世話役のか~むの森口所長、松本さんをはじめ関係者の皆様と天神の夜の飲み会に出かけました。私自身のこれでまでの経歴について、いろいろと質問が出たので、順番にお答えしました。なぜ、この分野にかかわるようになったのか?野口先生との出会いや関係性、森口所長との出会いや関わり、大野城すばる園での利用者とのエピソード、ノースカロライナ州には強度行動障害の人がいない?ノースカロライナ州TEACCH部の留学のこと、ノースカロライナ州の自閉症支援制度のこと、西南女学院大学の就職の経緯となぜ退職したのか?PECSの会社の設立とその間に世界中を回った話、か~むの話などなど、美味しい料理とお酒を堪能しながら2時間の予約時間はあっという間に過ぎてしまいました。研修よりも、飲み会の方が盛り上がったかもしれません。
主催者である森口所長や松本さんはじめ職員の方々にはお世話になりました。どうもありがとうございました。そしてご参加いただいた皆様、本当にお疲れさまでした。
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