「おしゃべりしない」は行動ではない?



①応用行動分析では、「標的行動」を決めてから支援がスタートします。この標的行動を決めること自体が難しいのですが、1つの基準は、応用行動分析で対象とするのは、あくまでも「行動」であるということです。ですから標的行動を記述する際も、具体的に行動を記述することが大切です。行動と行動ではないものを区別する基準は、何か?というと、「死人テスト」を使えばわかります。


死人テスト:「行動とは死人にできないことである」


「おしゃべりをしない」について、死んでいる人はしゃべりません。上記の定義をひっくり返すと、「死人にできることは行動ではない」ということになります(論理学では、ある真の命題がある時にその命題の否定の逆は真であると考えられるので、このように結論付けられます)。ですから、標的行動にするとしたら「授業中におしゃべりをする」ということになります。


②次に行うのは、記録を取ってアセスメントします。日頃どのくらいの頻度でおしゃべりが起こっているのか、なぜおしゃべりが生じているのかについてアセスメント記録を取ります。一日中、記録を取るのは非常にコストがかかるので、1限目のみなど制限をつけます。


③アセスメントの結果は、授業中に「おしゃべりをする」という行動は、先生に注意される、周りの生徒が反応することで強化される注意獲得行動ということが仮定されました。


④次は「おしゃべりをする」という行動に対して、どのように対応するかについて考えます。このように不適切な行動に対しては、弱化する手続きを取ることになります。弱化の一般的な方法は注意や叱責です。しかし、注意獲得行動の場合に注意や叱責は、弱化ではなく強化として働くことが多く効果的ではありません。これはアセスメントと仮説からはっきりしています。不適切な行動を弱化するだけの対応はうまくいかないことが多いです。ではどうするか?


強化の手続きです。何を?授業中に適切な行動をして注目が得られる行動を探すのです。それは何か?授業中にする適切な行動は、手をあげて発言する、問題を解く、先生に注目する、生徒と話し合う、司会をするなどなど様々ありますが、その中で本児にマッチする行動をピックアップします。そしてそれを積極的に強化するという手続きを組みます。


⑤あとは実践して、行動が変化するかを見ていきます。そのためには、行動の記録を続け、それをグラフ化して介入を行う前と行った後に有効な変化がみられるかを確認するのです。


⑥確認して変化がみられたらその手続きを続けて、十分に変化がみられたら終結です。変化がみられなければ、またアセスメントの②を行います。


これは、Plan Do See PDCA(計画―実行―確認―アセスメント)の流れと同じです。応用行動分析の実践法は、この点でも注目されています。

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(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

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