高知ギルバーグセンター主催の当事者のセルフマネジメント研修会

先日10月27日(土)は、ギルバーグセンター主催のABA研修会に講師として呼んでもらいました。内容は、ASD当事者のためのセルフマネジメントセミナーで、受講者は、医療、コメディカルスタッフ、福祉職まで幅広い人が集まりました。午前は、ABAとセルフマネジメントの基礎で、午後から演習を行いました。


難しかったのが、意外とスタートの目標設定の所で、本人が自分で変わりたいと思うことではなくて、支援者がこうなって欲しいという押し付けの目標になってしまうことでした。たとえば、ある放課後等デイサービスの職員の方は、宿題ができていない子どものためにプリント問題を解くという目標を考えられました。「本人は、宿題をしたいと思っていますか?勉強が好きですか?」と尋ねると「大嫌いです」と。「じゃあ、この目標は誰が望んでいるのですか?」と聞くと「勉強ができないと将来困ると思って」とのことでした。このように目標を捉えてしまうのは、明らかに私の説明不足で、ここは盲点だったなと講師としての反省点です。


そこで「ここでの目標は、療育的目標とは違います。本人が『こうしたい』とか『こうなりたい』と心底望んでいることです。ですから、本当に望んでいることを探るにはそれなりのテクニックがいるかもしれません。」と説明を付け加えました。すると「本人はサッカー選手になりたいのでクラブに入っていますが、十分に練習ができていないと思います。」と答えられました。「じゃあ、それがその子にとっての目標ということになります」と伝えました。行動目標は、「毎日ボールに触れる」となりました。


行動がうまくいかないことの機能分析は予想通り難しい点でした。私はウェスタンミシガン大学ABAのマロット教授の夏季ブートキャンプに参加してセルフマネジメントのことを学びました。目標がうまくいかない要因は、①目標を達成する行動を弱化する随伴性、②目標を邪魔する行動を強化する随伴性、③目標を達成する行動を十分に強化できない随伴性があるという3つの随伴性があることを聞いて目から鱗でした。


あと目標を達成するための行動は複数あったり、複雑な行動連鎖から構成されていますが、それを分析するために威力を発揮するのが「課題分析」です。このように一見、複雑な問題も、応用行動分析(ABA)の方法論を駆使することで、整理して考えることができます。


あと介入法を計画するのも、機能分析に基づいてなかったり、目標行動を十分に強化するものになっていなかったりするところもあって反省点でした。


面白いエピソードも一つ。サッカー好きな子どもがサッカーの練習に毎日取り組むという行動目標に対しての介入について、私と同じくらいの年代の人が紹介してくれました。「家にペレのポスターを貼ってモチベーションを高めるのはどうでしょう?」「今の若者はペレを知らないし、ましてや子どもは知らないでしょう?」と突っ込みを入れると、会場が笑いに包まれました。そのあと、「じゃあ、ロナウドで」と修正されました。


研修後の懇親会では、早速ABAとセルフマネジメントのフレームワークに触発されたのか、自身の行動の改善や組織の行動の改善に役立てたいという話題で盛り上がりました。


※高知ギルバーグセンターは、高知県療育福祉センター内に設置されている発達障害の療育支援について研究開発する組織で、地元の精神科医や小児科医、心療内科医、福祉職員の研修などを行っています。発達障害や精神医療の世界的権威であるクリストファー・ギルバーグ博士が名誉顧問を務めており、博士を招聘した元副所長の畠中医師(現沖縄大学教授)と共に毎年、高知で講演会や研修会を開催しています。



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(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

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