原因を推定しないで対応すると・・・

最近、武藤崇先生(2011)のACTハンドブックを読み返していますが、そこにある学校の生徒の自傷行動に対する情緒的で心優しい先生の対応についての記述があります。 「ある発達障害の生徒が教室の壁に自らの頭を繰り返して打ちつけるという自傷行動を生起させると、必ず先生のうち誰かが『ストレスが溜まっているのね、大丈夫よ』と言って肩をさするという対応をとっていた。そうすると、その生徒は、すぐに自傷行動を止め、先生に促されて席に着く。しかし、その先生が他の生徒の対応に追われ、その場を離れると、先ほど自傷行動をしていた生徒は再び自傷を始めるようになった (ACTハンドブック, 23p) 。」 この生徒さんの行動の機能は、注意獲得であることがわかると思います。ですからこの先生はこの生徒さんの自傷行動を強化していることになります。この先生は、思いやりのある優しい先生だということはわかるのですが、生徒の行動を強化してしまっていることに気が付いていません。 ですから、どんな行動上の問題に対処する上でも、まず機能アセスメントやABC分析を行って行動の原因を探ることが大切なのです。

障害だから行動は変わらないのか?

先日、ある特例子会社の就労支援現場でのコンサルテーションに伺った際に、会社の責任者の人と話す機会がありました。会社では役員をされているので、これまで奥の机に座っておられて挨拶以外にあまりお話する機会がなかったのですが、幾つかあるセンターの所長や職員に欠員が出て現場に出てこられるようになり、この日たまたま現場におられたので、合間に考えを聞かせていただきました。この方は経営専門で自閉症のことはもちろん、応用行動分析のこともご存じありませんが、率直に考えを述べてくださいました。 「今本さん、障害だから行動は変えられないのですか?私は躾で変えられるんじゃないですかね。この前、昼間に好きなだけ買ってきたものをむしゃむしゃ食べるAさんがいて、体型もメタボ体型で健診でもひっかかってたんですよ。だから、『あんまり食べると成人病になるから控えめにした方がいいよ』と注意したんです。そりゃ一回じゃ聞きませんから、何度も繰り返し、病気になるからという理由を話して、食べる量を具体的に伝えるようにしたら1,2か月経った今は、ちょうど良い食事量に落ち着いています。おっといけねえ、用事があるのでこれで失礼します。」と江戸っ子ことばで簡潔に述べるとすぐにご自分の仕事に戻って行かれました。 なかなかポイントをついているなと思ったのは、障害や状態像に焦点を当てるのではなく、行動に焦点を当てていることと、実際にこの人に働きかけて行動変容に成功している点です。また、ほんの短期間センターにいるだけなのに、自分の部下のように愛情を持って接していらっしゃるのが素敵だなと思いました。

無視だけをするのでは注意獲得行動は消去できない

先日は、佐賀県西部発達障害者支援センターの5回シリーズの研修会最終日でした。今までのおさらいのあと、よろず相談を受けました。その中で小1の方ディに通っている子どもの注意獲得行動を無くすことについて質問がありました。最初 は壁叩きなどをして注意獲得していたので、職員と打ち合わせしてみんなで無視をしたら、壁叩きはなくなったそうです。でも新たに他児のマスクを取ったり、ズボンを下ろす行動が出はじめたので無視しきれなくなったのでどうしたら良いかという相談を受けました。 注意獲得行動は、人からの注目で強化されているので”無視する”という対応が取られることが多いのですが、無視を続けると”消去バースト”というエスカレートした反応が生じます。この事例のように他児にちょっかいをかける行動は消去バーストで生じたのではないかというのが私の推測です。そういう行動は、無視し続けることができなくなって、止めに入る、介入してしまわざるを得ないと思います。この止めに入るという我々の行為が注意獲得として機能してしまい、この他児にちょっかいをかけるという新たな行動が強化され維持されるということになります。 これは不幸な行動の発展につながります。ですから消去は単独で行わない方が良く、強化とペアで行うべきなのです。不適切な行動以外のあらゆる行動に注意を向けるようにします。これを他行動分化強化といいます。

意思決定支援 厚労省ガイドライン

新年明けましておめでとうございます。先日、新年の挨拶に広島の実家に帰りまして、みんなでご馳走をいただく時に飼っている犬をゲージ入れようとしたら手を噛まれてしまいました。少し怪我をしましたが、彼の「その場に一緒にいたい」という意思を無視したために起こった災難ではないかと反省しました。お詫びにそのあと散歩に連れて行ってあげましたが、いつも通っている公園に「犬の散歩禁止」という立て札が掲げてありました。おそらく犬の糞害に困った地域の人が立てた看板だと思いますが、私は憤慨せずに心を落ち着かせて道路を散歩しました。その直後彼はうんちをしましたが、きちんと持参したビニール袋に持ち帰りました。戌年だけに幸先がいいのか、わるいのか、とにかく今年もよろしくお願いします。 昨年に講師として呼ばれた山口の入所施設合同研修の懇親会で、「厚労省から新しいガイドラインが出て、どうしようか困っているよ」という施設長さんたちの声を聞いて、厚労省から出ている意思決定支援に関するガイドラインをホームページから検索して読んでみました。ガイドラインなのでこれから本格的に法制化されると思います。 障害者総合支援法第1条の2(基本理念)における、障害者本人が「どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保」される旨を規定した箇所を実現するためのものとあります。その定義いはこうあります。 「意思決定支援とは、自ら意思を決定することに困難を抱える障害者が、日常生活や社会生活に関して自らの意思をが反映された生活を送ることができるように、可能な限り本人が自ら意思決定できるように支援し、本人の意思の確認や意志及び選好を推定し、支援

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(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

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