

見ること vs. 観察すること
今日は何年も訪れている山口の成人施設のコンサルテーションでした。施設長を始め職員の方々は大変熱心ですし支援に対する基本的な考え方を共有しています。あとは行動分析的なものの見方、行動の見方を伝授すれば職員の方が自ずと支援の取り組みができるだろうという目論見のもと朝一番の講義を行いました。今月のテーマは観察と記録です。行動を理解するには、まずそれをよく観察し記録することですが、それをわかりやすく説明するにはどうしたらいいか長い間迷い続けていましたが、たまたまいい本に巡り合いました。それが「シャーロックホームズの思考術」です。皆さんもご存知の英国を代表する推理小説アーサー・コナンドイルの世界的ベストセラーを題材にした本です。この本の冒頭に、ホームズがワトソンに見ることと観察することの違いを説明する箇所があって、「これだ!」と閃き、今日の講義に使わせてもらいました。 「皆さんはこの施設に来て毎日働いて階段も何百回も上り下りして、この建物の階段を何百回も見ています。でも階段が何段あるかわかりますか?」皆さん、知らないと答えます。これが見ることと、観察するこ


日本はチームワークがいいのか?
日本は世界的にもチームワークが良い民族でそれが日本の優れた特質の1つだと言われています。尊敬するi-PS細胞で有名な山中教授も「日本人の技術者は間違いなく世界一です。器用さ、勤勉さ、創意工夫、チームで取り組む努力など、研究者として重要な素養を備えています。現在は米国にも研究室を構えているのですが、日本人は素晴らしいと痛感しています。」と述べています。おそらくここには大切な前提が抜けていると思うんですね。それは”優秀なマネージャーが管理している限りにおいて”という前提です。 というのも、私はいろんな学校や施設で自閉症支援に関する専門性を高めるための仕事をしているのですが、先生や職員の訴えや話を聞くにつれて「チームワーク取れているんだろうか?」という疑問が浮かんでくるからです。これは同僚だけでなく、保護者との関係、上司との関係において多岐にわたって見られます。 たとえば、ある支援学校小学部の先生は自身の教室の多動な生徒の相談をされました。その子は、授業中も途中で床に寝そべったり、教室の外に飛び出したりします。保護者の授業参観の時は、すっかり舞い上がっ


佐賀発達障害支援センターABAセミナー
応用行動分析(ABA)に基づいた支援アプローチに対する関心が年々高まってきていますが、佐賀の発達障害者支援センター結では昨年からABAを学び実践に生かしていくための連続セミナーを始めています。今年度はその2シーズン目になります。施設での実践が落ち着いてきた秋ごろに始めようということと、県域で集まりやすい佐賀市で行おうということでそれいゆの研修会場をお借りしてスタートしました。初日の今日は、行動を理解するABC分析の説明をして受講生自身の支援されている対象者の行動問題について考えてもらいました。ABAは実践の学問でもあります。行動問題について考えるということで生活介護など成人を支援されている受講者が多く全部で42人でした。 用意している記録用紙を埋めながら進めて行きます。好子と嫌子アセスメント、ABC分析用紙、ABC対処法計画用紙を使います。さまざまな行動問題の例をあげてくれましたが、行動(B)は、先行事象(A)と後続事象(B)の環境変化の影響を受けることがわかると、何の意味もないと思われていた行動の意味を理解されたようでした。まだ行動の意味が分か