学習療法

発達障がいの支援に行動分析学的な支援アプローチが有効であるということが、ようやく日本でも浸透しつつあります。行動分析学自体は1つの学問体系として確立されていますが、実際の支援アプローチは療法家の数ほどたくさんの考え方、やり方があります。私が以前、属していた組織の支援アプローチ(ピラミッドアプローチ)も行動分析学に基づくものの1つです。ピラミッドアプローチでは、何を教えるか?という基準の1つに実用性を重んじるというものがあります。これは米国の教育哲学であるプラグマティズムの影響を受けているのではないかと思います。ピラミッドで言っている実用的な教育内容とは何かというと対象者の生活に役立つことを教えるということです。これは非常に理にかなっている考え方だと思います。たとえば、数の計算という抽象的かつ概念的な学習を反復するよりも、買い物を通じてお金のやり取りやお金の計算を学習する方が生活に直接結びついていますし、学習の動機づけも高いといえるでしょう。私は当初すっかりこの考え方に魅了されまして、約10年ほど前から療育活動でも実用性を重視したものに舵を切って取り組んでいましたし職員にもそれを徹底してもらうようにしました。子どもへの療育効果はとても高かったように思います。お恥ずかしいことに講演会でも機械的な反復学習は意味がないとまで言ってのけていました。受講者のアンケートの中には「それは言い過ぎです」というお叱りの言葉も見受けられました。 その数年後、私は考えを改めることになるわけですが、そのきっかけになったのが、この学習療法と呼ばれるものです。飛行機の中でビデオ放映されていた番組で福岡の高齢

遊びながら自然に行動を良い方向に向けてもらうには?

放課後デイサービスに新年度やってくるお子さんがいる中で多動で活発すぎて、どうにも行動が落ち着かない、危険な行為が多い子もいると思います。スタッフの方々は、そこで頭を悩ますわけですが、どうしたらいいでしょうか。 ある施設ではこのように対応していました。小学校1年生のお子さんがスキップしたり跳んだり跳ねたりしながら広い室内を走り回っていました。そして子どもが入って遊ぶ箱の台の上でに上がった時点で職員が「あがったらダメでしょう」と注意して、子どもを抱っこして降ろしてました。でも少しするとまた子どもが台にあがります。ある職員は「上がりません!」と言いながらも「それー」と言いながら抱っこして振り回しながら下ろしています。そしてまた子どもは上がる・・・・ たまたま送迎の運転士さんが教室の人手が足りないとかで、5分ほど子どもを見ることになりました。体格のいいその運転士さんに乱暴な子どもは体当たりをします。運転士さんはびくともしないのでそれを受けながら相手をしていると他の子どもも真似をして体当たりをします。乱暴なお子さんは今度はその運転士さんを蹴るようになりました。まるで戦隊もののヒーローになりきったたような様子です。屈強な運転士さんは痛くもかゆくもないので受けながら相手をしてあげていました。そしてどんどんその子どもは興奮して蹴ったり叩いたりがエスカレートしていきました。 行動理論は、行動が続いたり強められるメカニズムを明らかにしてくれます。上の例では 子どもの行動:休憩の箱の台に上る   →結果:大人に抱っこしてもらえる 子どもの行動:休憩の箱の台に上る   →結果:大人に振る舞わしてもらえ

小学校通常学級1年女児への介入

最新の行動分析学研究をパラパラと読んでいます。固い科学雑誌で大学での実験研究から応用まで幅広い内容が載っています。最近は、現場の実践研究が増えて実践家に役立つ内容が豊富になってきた印象です。その中で通常学級での取り組みである庭山・松美(2017)行動分析学研究31, 1, 55-62を紹介します。 広汎性発達障害の診断を持ち, 新版K式でDQが79の女児です。通常学級に在籍し授業中の頻繁な離席や授業妨害(大声、板書消し、教師を叩く)がありました。担任は、4年目の20代男性教諭です。大学のABA研究会に出席にも出席し、著者にも授業中に児の行動に即時フィードバックは無理と訴えていました。ABC分析で教師の注目(着席するように注意する)が67%で、15分のタイムサンプリング8セッションで授業参加率は39%。教師の注目が5分以上空くと問題が生起するので5分で振動するMotivAiderという機器を設定し介入することになりました。 振動を合図にして教師は「頑張って書いてえらいね」、「ちゃんと聞いているね」、〇つけなどをしてほめました。着席しているけど授業に参加していない時、たとえば手遊びをしている時は「この問題解こう」など個別に声かけをしました。また授業妨害に対してはなるべく注目を与えずに阻止するように教示しました(これが難しいと思います)。たとえば、物を投げようとしている際に視線を合わせずに物を手の届かない所に移動させるなどです。 結果はFigure 1の通りです。折れ線グラフが本児の逸脱行動で、棒グラフが担任の本児の適切な行動に対する注目行動の割合を示しています。Baseline(ベ

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(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

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