さまざまな変化や変更に不安を示す女性

自閉スペクトラム症の人は変化に弱いと言われています。いつもと違う行事などの参加を拒む人も多いでしょう。先日、入所施設のコンサルテーションで普段から変更があると不安になる30代女性の対応について相談にのりました。2月20日のサーカス鑑賞は、事前予告をして楽しむことができたそうです。2月23日に予定されていた女性職員の結婚お祝いパーティについては、21日の午後7時に予告してから不安症状(特定のものを指でこする)が出始めました。その前の夕方にケース会議で他のスタッフにしており、その会話が耳に入ったことも不安を喚起したかもしれないとのことです。ながい言葉の意味にはわかりませんが、端々のキーワードは捉えることができるそうです。翌22日は午前中に不安症状とともに自傷も出ましたが午後には落ち着きました。 彼女の不安は、以前に精神病院に入院させられたことがとてもトラウマになっており、また入院させられるのではないかということが最大の不安要因になっています。「入院」に関連するあらゆる出来事や言葉などが不安を喚起してしまいます。以前、家の近くに移動支援で道順を示した上でドライブに行ったことがありますが、そのあと調子を崩しました。精神病院に行く道がかぶっていたそうです。 自閉スペクトラム症の人は普段と違うことに対する不安があるので活動の手順を示すとか予告することが基本的に大切ですが、この女性のようにそれだけではうまくいかないケースがあります。この女性の場合は「また入院させられるのではないか?」というのが最大の不安と推定されます。だから予告の中に「入院しないよ」というメッセージを含める必要があります。し

何度、注意してもきかない人が・・・

一昨日は、桑の実工房という北九州の成人施設でABC研究所のコンサルテーションでした。ABC分析に基づいて支援を毎回、事例を通して学んでいます。その中の20代前半の方はトイレに行って大をしたあとにお尻ふきが不十分で毎回、パンツを汚してしまうということがあったそうです。お母さんはその度に何度も何度も注意していましたが、いっこうに改善の様子が見られません。そこでスタッフのお一人は、私が行ったABCモデルとトークンシステムの講義をこの人に応用してみようと思い立ったそうです。まず、ABCモデルでいうところのB:行動は、「お尻をふく」という行動は身についていると言えます。しかし、A:手がかりで「どの程度ふいたらよいのか?」が分からないのではないかという仮定のもと、以下のようなイラストを準備しました。 またこの方は、やっていることを怒られてばかりで動機づけの低下を招いているのではなかという仮定のもと、彼の大好きなカップヌードルを目標にしたパズル式トークンを作りました。上のようにしっかり拭けたらパズルの1片をもらい4つ完成させるとカップヌードルが食べられるという仕組みです。彼は、やることが明確になり(Aの支援)、動機づけを回復した(Bの支援)結果、きちんとお尻をふくことができるようになりました。

個を見つめるダイアローグ 村上龍×伊藤穣一

最近、注目しているMITメディアラボの伊藤穣一(ジョーイ)氏と小説家の村上龍氏の対談本です。2006年発行なので少し古いですが、内容は未だに新しい考え、思想を紹介していると思います。ジョーイ氏は、バリバリのITの専門家であり、ビジネスマンであるのだけれども、今までの古いタイプではない、新しい価値観を提供してくれるニュータイプの人間、時代の先を行っている人だと直感的に思います。 これまでのビジネスは、利益追及、お金中心で貪欲な資本主義だったと思いますが、全世界的にゆっくりとその価値観は転換を迎えてきていると実感します。アメリカでは、それはリーマンショック後、日本では東日本大震災がその大きな転機だったと、後世の歴史ではみられるのかもしません。 新しい価値観は、利益追及やお金ではなく、人間中心で人々の幸福を最優先にするような経済というか、人間活動に移っていくのだと思います。これまでは、それはただの理想論だったのだけれども、実際に人間の幸福とは何で、どのような社会の仕組みにしていったら良いのかということが、具体的に動き出しているように見えます。おそらく、この変化は10年、20年といったスパンで動いていくのでしょうが。 ジョーイ氏以外にも、世界的経済学者であり思想家の宇沢弘文氏、岩井克人氏などがその代表ですし、今のシリコンバレーやITの最先端の人たちは、似たような思想を持っているように思います。宇沢氏が、シカゴ大にいた時にミルトン・フリードマンと激論を交わしたというエピソードは、その変化の時を刻む非常に象徴的出来事として記憶されるに違いありません。

正高信夫著 天才はなぜ生まれるか(ちくま書房)

著者の主張は、過去の偉人が、なぜそのような歴史的な偉業を成し遂げたのかについて、「ある能力が欠如しているからだ」と逆説的な論法で解いていきます。様々な障害(異能)が、天才的な業績を生み出すということを6人の偉人の生涯から紹介するユニークな本です。他の様々な書籍でも取り上げられることの多い偉人たちが登場しますが、著者は日本でも最先端の研究所の1つである京大の霊長類研究所に所属していただけあって、障がいに関する多方面の研究事例などもエピソードとして織り込んでいる点は独創的でより深く理解できました。また脳のどの部位の機能障害がどういう症状をもたらすのかについての説明は、より精緻なアセスメントと支援の提供をもたらす可能性があると思いました。ただ10年ほど前に書かれたものなので最近の用語に置き換えて読む必要がありそうです。 エジソンは注意欠陥多動性障害(ADHD)の代表者として有名ですが、ADHDの人とそうでない人の認知的な特徴の違いを実証する実験研究が面白かったので紹介します。目の前で交互に点滅する刺激を提示すると両方の被験者とも交互に刺激を見ます。ある刺激を点滅させた状態で新たにもう一方を点滅させた時の反応に両者に違いがあります。ADHDでない人は新たに点滅した方を瞬時に見るのですが、ADHDの人は元の刺激に視線を向けている時間が長いそうです。つまり一旦1つのことに注意が向くと他のことに注意を切り替えるのは難しいということです。エジソンが失敗を繰り返しながらも、諦めずに数々の発明をしていったことは、1つのことに執着したおかげだと結論付けています。 一方この特性が逆に作用した例として送

認知行動療法セミナー平成27年8月16日大分大学医学部2

CBTでは、クライエントの発言内容から、認知・感情・行動を分けていくことが大切と言っています。英語文化では、この認知と感情は明確に分けられるのですが、日本語文化では必ずしも明確に分けられず曖昧だそうです。たとえば英語で、"I think...."と言えば思考だし、 "I feel...."と言えば感情、"I did...."と言えば行動というように動詞で明確に分けられるけれど、日本語では思考と感情がごちゃごちゃに語られるので判り辛いのだそうです。 あとCBTは治療の段階がマニュアル化されていることも特徴の1つです。あるCBTのセラピストは、そのマニュアルを丸暗記しないと免許皆伝はしないと言い切っています。マクドナルドに始まって欧米はマニュアル化が得意だなと思いました。でもそれも一理あって、いったん型を覚えたら、あとは様々な事例に応じて臨機応変に変えられるという意味のことを運転免許をたとえに説明されていました。 臨床的には、感情を特定化できることが非常に重要です。大まかにポジティブとネガティブ分かれます。 a)ポジティブな感情:嬉しいとか楽しいなど。あまり残らない。誰かと分かち合うことで対人関係の中で生じる。 b)ネガティブな感情: 怒りや悲しみ、不安など。いつまでも残りやすい。対人関係で孤立すると生じやすい。 なぜネガティブな感情の方が種類が多く、残りやすいのかというと、感情はアラームにの機能を持っているからというものです。 ・怒りー自分の思い通りにならない時に生じ、相手にそれを押し返す反応。 ・悲しみー何かを失う、喪失した時に生じる。 ・不安ー未知の出

小倉 教材作りセミナー

2月12日は全国的に寒波が押し寄せ積雪があったのですが皆さん無事にセミナーに来られました。今日は初めて自閉症のお子さんの特性に合った見てわかりやすい学習教材についてのセミナーを開きました。前半は、基本的な考え方と事例を説明し、後半に実際に学習教材を受講生に作っていただきました。 受講者が作成した学習課題を基に説明を行います。 一番初歩的なマッチング課題は、写真のピンクのドットのように同じものと同じものを合わせる同一見本合わせから行うと取り組みやすいです。 次のマッチング課題は数字にドットを付けたものの同一見本合わせ課題になっています。 入れるポケット側の見本カードにはドットがついていません。ポケットに入れるカードには数字とドットがついています。ちょっと見えにくいかもしれませんが、ドットはアンパンマンの顔になっています。興味を持てるキャラクターを使うと動機づけのあがるお子さんもいますし、逆に注意散漫になってしまうこともありますので、お子さんの特性に合わせて計画する必要があります。 これはポケットに入れるカードは数字がなくてドットだけになっています。これは同一見本合わせでなくて、数字とドットの数合わせになっています。このように段階的に刺激を変えていくことで、同一見本合わせから恣意的見本合わせの学習に変化させていくことができます。 これは、同一数字カード、ドットカード、読みカードの3種類のカードを用意して3種類のマッチングが取り組めるようにした学習課題です。

北九州若者サポートステーション引きこもりセミナー 平成27年8月8日(土)

知人であるひきこもり体験者の話を聞く機会があったので行ってきました。講演終了後もファンと思しき人たちに囲まれて、なかなかの人気だったので、遠目で挨拶して会場を後にしました。講演の一部をかいつまんでご紹介します。 <小学校時代>  学校は緊張する場所で一日いるのが辛かったそうだ。低学年の時に友達に「なんで学校に行くん?」と聞いたことがあり、友達からは「そういうもんよ」という返事。普通に友達と遊び、下校後は友達の家で遊んでいた。控えめな性格でドッチボールをしていても、チームに迷惑をかけられないと思い、拾ったらパスばかりしていた。高学年になるにつれ、慣れない同級生には話しかけ辛くなった。暗いと思われないように無理してテンションを上げていた。その頃から行き渋りが出始めた。ある日をきっかけに休むようになり、引きこもり、友達も受け付けなくなる。小6の時は、時々友達に誘われることもあり、気分を一新して行くこともあったが修学旅行までの1ヶ月で限界だった。親にも友達に来ないように伝えてくれと言った。 <中学時代>  入学式に誘われて期末考査までは何とか行けた。その頃の生活は、朝は普通に起きて食事は3食摂っていた。テレビの朝のワイドショー、昼に笑っていいとも、午後のワイドショー、夕方にアニメを観て、親とは下校時間くらいになってゲームをしていいという約束だった。基本的には眠れるタイプだが、入眠時に「翌朝起きれるだろうか?」と不安になった。家族も不安になり、イライラが募ると「なんで行かんのか?」と怒鳴られ、険悪な雰囲気になったので、話さないようになった。近所や親せきが家に来ると、「学校のこ

改訂版 対人支援の行動分析学 -看護・福祉・教育職をめざす人のABA入門-

本書は、心理学の中でも行動分析学というユニークかつ実践的学問分野から見た行動の捉え方とその実践方法を解説したものです。福祉や医療、教育など、人と関わり、人を支援していくヒューマンサービスの現場にも、個人攻撃の罠はあちこちにひそんでいます。たとえば何度注意しても薬を飲み忘れてしまう患者に対し、怒りの感情をそのまま相手にぶつけるのと、飲み忘れないようにするためにはどうすればいいのかを考えて試してみるのとでは、どちらがうまく支援できるでしょうか。行動は環境に影響されます。環境をどのように変えれば、行動がどのように変わるのかを考えます。本書は、難解な専門用語は避け、初めて応用行動分析学を学ぶ親御さんや福祉・医療・看護の専門職を目指す学部生でも簡単に理解、実践できるよう配慮しています。また福祉・看護などの実践研究例も多く盛り込んでいます。 申し込みは、ふくろう出版です。 http://www.296.jp/books/data_books/t1000000363/index_html

自己紹介

今本 繁(いまもと しげる), 教育学修士 臨床心理士 自閉症スペクトラム支援士EXPERT ABC研究所 行動エンジニア 筑波大学大学院博士課程心身障害学研究課に入学し行動療法の大家である小林重雄教授(筑波大学名誉教授)に師事する。その後は、九州の知的障害者通所施設(社)大野城すばる園にて非常勤指導員として勤務。国立肥前療養所にて心理療法士として勤務する。ウェスタンミシガン大学の行動分析学夏期研修講座受講、ノースカロライナ大学TEACCH部のグリーンビルTEACCHセンターで1年間のインターン研修を経験。帰国後、西南女学院大学に専任講師として4年間勤務。2003年に佐賀の自閉症 支援施設であるNPO法人それいゆが、PECS開発者であるアンディ・ボンディ博士とロリ・フロスト女史を日本に始めて招聘してワークショップを開催したことをきっかけに彼らと親交を保ちながら2006年5月にPECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム)の普及を目指してピラミッド教育コンサルタントオブジャパン株式会社を設立し、クリニカルディレクターとして全国で活躍し2015年に退社。2015年にフリーランスで活動するためにABC研究所を設立し現在に至る。 主な著書 「対人支援の行動分析学‐看護・福祉職を目指す人のためのABA入門」(共著)ふくろう出版 「絵カード交換式コミュニケーションシステムトレーニングマニュアル第二版」(共訳)ピラミッド教育コンサルタント 「自分を変えたい人のためのABCモデル」(単著)ふくろう出版 略歴 1997年 筑波大学博士課程心身障害学研究科教育学修士取得. 1997

認知行動療法セミナー平成27年8月16日大分大学医学部

これまでの仕事では、主に週末に仕事が入っていて一般の研修会には参加できなかったのですが、転職をきっかけに研修会に参加できるようになりましたので、夏休みということもあり参加してきました。なるべく専門分野であるABA以外のものを勉強しようと思い、堀越勝氏のセミナーに参加しました。普段はノンバーバルなクライエントを対象としていますが、今回のセミナーはバーバルなクライエントを対象としていました。専門分野を超えて大変勉強になりました。 非常に濃い中身ですべてを消化しきれていません。ところどころ2人1組で行う演習が入っていて受講者を飽きさせないようになっていました。最初の演習は、ノンバーバルな反応が相手に与える影響を探るというものでした。カウンセリングのトレーニングでは定番の内容ですが、実際にやってみると新たな発見がありました。演習後、堀越氏から解説がありました。 a)目線を合わさないで話す:クライエントは怒りを感じていることが多く、嫌なことを伝えている。 b)相手が話し終わらないうちに話す:カウンセリングでは、最後まで相手の話を聞くことが鉄則。 c)話し中に他所に目線を送る:相手に関心を向けていないと思われるし、説得力を持たない。 d)うなづかないで話を聞く:相手に共感する上で一番ポイントになる。会話のリズムを変えられる。 せっかちな私は特にb)は普段の会話では守っていないことがあると反省しました。d)もタイミングを外してしまうことが時々あるようです。このような癖に気が付くためにも臨床家は、クライエントに同意を得て会話の内容をビデオに録り見直して、改善するように勤めるべ

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(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

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