平成27年度 北九州自閉症啓発デー記念行事(2)

最後は、今年から北九州市総合療育センターの精神科医師として勤務することになった下村泰斗氏の講演だった。冒頭で「世の中、目に入る情報に頼る傾向が強い」とおっしゃって資料もスライドも使わないという講演スタイルだった。私が聞いた中で、この分野では佐々木正美先生くらいだろうか、話術だけで講演されるのは。話の切り口もとてもユニークで面白かった。趣旨は3つで1つ目が普通の人も発達障がい、2つ目が、発達障がいの人の感覚特性、最後の3つ目が支援のマニュアルはない、安易な方法はないというものだった。 <普通の人も発達障がい> 一昔前の生活には携帯電話はなかったが、今の時代は誰もが携帯を持ち、いつでも携帯をいじったり画面を見たりしている。そのためか現代の人は、何もせずに静かに黙って待つということができなくなっているのではないか?そのような生活スタイルは、衝動性や多動性を助長していないだろうか? また現代はインターネットが普及し、コンビニは24時間開いていて便利になったと言われている。しかし、いつでも使えるからと行き当たりばったりに行動してしまい、計画的に物事を進めること、優先順位を考えて行動すること、見通しを立てて準備することが疎かになってきていないだろうか? オムツは紙おむつでおしめを洗うことはなくなり便利になった。でも最近のママさんのおむつ替えの様子を見ていると、子どものタイミングでなく、大人のタイミングでさっと変えているように見える。相手に合わせる、他人と協力するという力を奪っているかもしれない。文書も手書きからワープロになり、いつでも失敗できるし書き直しができるので、慎重に文面を考えて失敗

平成27年度 北九州自閉症啓発デー記念行事(1)

日時:4月5日(日)13:00-15:40 会場:リバーウォーク北九州の6階にある北九州芸術劇場中劇場 主催:「世界自閉症啓発デー」北九州市実行員会:北九州LD等発達障害親の会「すばる」    北九州市自閉症児者の未来を考える会、北九州市自閉症協会    北九州市、北九州市発達障害支援センター「つばさ」 主催の実行委員会から代表で伊野氏のあいさつで開会した。続いて北九州市の施策を担う北橋市長が、あいさつに登壇した。発達障がいと健常者との境はない。しかし発達障がい施策は十分とは言えない。北九州市としては、既存の支援の機能を強化するとして、総合療育センターの再構築、発達障がい者支援センターつばさの機能強化、診断と支援の窓口である地域の精神科医のトレーンングを課題にあげられた。続いて発達障がい当事者2名による発表と下村医師による講演があった。 <当事者1のお話> 最初は30代中盤の方の発表だった。幼稚園の時期はバスに興味があり砂遊びに没頭し、お友達とは全く遊ばなかったそうだ。その時期、訳も分からず道具倉庫に閉じ込められたことがあったが先生にも親にも一言も言えなかった。小学校にあがってからは、とにかく遠足が嫌いだった。小3にガキ大将タイプの仲の良かった子が別のクラスに移ったのを機に、同級生からのいじめが始まった。 小学校高学年になると不登校気味となった。親は無理やり学校に行かせようとし、担任が訪問して無理やり車に乗せて学校に連れて行かれたこともあった。その後は、学校を行ったり休んだりの日々で、中学3年になるといじめが激しいクラスになり腹痛が生じるようになる。高校2年からは様々な身体

強度行動障害に対するスタッフトレーニング(H27年発達障害学会シンポ)

これは平成27年に参加した発達障害学会で印象に残ったシンポジウムの紹介です。 自主シンポジウム1:強度行動障害に対するスタッフトレーニングをどのように進めるかー機能分析的アプローチの成果と普及を考えるー企画司会:井上雅彦 話題提供:五味洋一・大久保賢一・岡村章司・井上雅彦 井上先生(鳥取大学)は、自身の大学で行っている強度行動障害に対する施設職員を対象としたスタッフトレーニングの実践についての発表でした。「階層アプローチ」といって介入の階層を ①施設・学校全体の環境調整 ②個別の環境調整 ③機能分析的アプローチ の3段階に分けて介入を行っていました。対象者にアプローチする前に環境調整するのは効率的・効果的だと思いました。研修内容は、チームアプローチ、機能分析方略シートへの記入、コミュニケーション、余暇などです。一見、行動障害に直接関係ない事柄のようですが、行動問題を予防する上で重要な内容を網羅しています。効果測定は、受講者のABAの知識を調べるKBPAC、ストレスレベルを調べるGHQ30、実施の評価としては支援計画(方略シートの作成)を4項目で評価するチェックリストなどです。受講者が施設で実施しやすいように管理職宛に手紙を出すなどの工夫もされていました。これからの課題として ①研修を実施する講師の養成 ②受講者以外の施設スタッフの技能の向上 ③記録をつけるのが困難 などでした。③をバックアップするのに記録を簡便につけられるようにウェブシステムの完備も行っています。質問項目を完成させると、自動的にABC分析表が完成できるというものです。今は、鳥取内だけですが、

社会の中に様々な個性があっていい

私が、約20年前に精神病院で心理士として働いている時に精神医療分野のワーカーさんたちが、患者さんと社会でバリバリ働いている人との関係性について言及する時にこのメタファーを使っていらっしゃいました。最近、偶然近くの図書館で見つけて読んでみたら、とても面白かったので紹介します。 アリやハチなど、個体が集まって分業しながら生きている昆虫を社会性昆虫と言うそうです。そして表向きは働きアリもハチも、常に動き回っている印象がありますが、実際には全体の7割はそうでもなく、1割は働かないそうです。一生懸命動き回っているのは2割というのです。経済学でも、パレートの法則などで「8:2の法則」などと言われますが、進化生物学の分野でもそれが当てはまるそうです。 個体の中に運動性の差があることで、群れ全体の存続には有利に働くのだそうです。全個体が動き回る群と、そうでない個体に差がある群れを比較した研究があるのですが、後者の方が全体が生き残る確率が高いと言います。前者は、一斉に全ての個体が動くので疲れるのも一斉で、幼虫の世話など他の作業が滞り、全滅に向かうのだそうです。一方、後者は働いていた個体が疲れてくると、徐々に反応性の低かった個体が働くようになり全体の存続に有利に働くそうです。 私たちの社会も、発達や障害において様々な個性があって共存することに、意義があると思うので、それを裏付ける研究成果に共感した次第です。著者も最後の方でそのような考察をされています。

心の発生と進化

プレマックという心理学者は、「プレマックの原理」と「心の理論」で有名です。某大学の認知心理学の先生のゼミで紹介されて興味を持ち読むことになりました。私自身は、新行動主義の中でもスキナーの行動分析学を研究や臨床実践の基盤に置いています。私は長い間、プレマックは行動主義心理学者と思っていましたが、認知心理学者であることがわかってとても意外でした。 彼は、ヒトの知識の基本として様々な「モジュール」の概念を提出しています。物理モジュールは物理的な動きを予期するもの。心理モジュールは能動的な生物の動きを予期するもの。生物モジュールは生物の一般的な形態を認識するもの。数のモジュールは数量の認識や計算などをつかさどるもの。空間モジュールは空間の配置や自身の位置の定位を司る能力。音楽モジュールは音感、テンポ、メロディなどの認識を司る能力です。 プレマックは、主に乳幼児、チンパンジーなどの類人猿やサルなどを被験体とした実験研究を検証しながら「モジュール」の概念で説明を試みています。実験研究の引用は、自身の有名なチンパンジーの研究がほとんどですが、その他にもイヌやイルカ、カラスなどの鳥類から昆虫などの研究も引用し、それぞれの実験結果はとても興味深いもので、言語や概念の習得、その基礎となる弁別学習について深く理解するきっかけとなりました。言語のない被験体からの反応を引き出すために馴化と脱馴化という方法を用いること、模倣が過去の再現であるということ、イルカや類人猿が簡単な文法を学習できること、物の名前を学習することが情報の集約をもたらし、さらに文法など複雑な概念の学習に結びつくこと、様々な見本合わせ課

お正月の一コマ

正月に広島の実家に戻り妹家族とひと時を過ごしました。そこで小1の甥がコマ回しをしたいというので幼稚園年中の姪と一緒に回し方を教えてあげました。まずコマにひもを巻いて回すための実演を示します。甥は何回か観察した後にやり方が分かったようで自分でやるというのでやってもらいました。不器用でしたが何とか回せました。 次に姪もその様子を見ていたのでひもを巻いたコマを渡してやってみるように身振りで促してみましたができそうにありません。 そこで身体的にガイドしてやってあげるとうまく回すことが出来ました。 そのあと私と甥と姪とで誰が一番長くコマを回せるかの競争をしました。さて誰が一番だったでしょうか?

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(同) ABC研究所は、自閉症スペクトラム障害 (ASD) に関する支援法について普及や啓発を行うことを使命にしています。自閉症支援は、応用行動分析 (ABA) とTEACCHプログラムに基づいた科学的方法論を基にしています。ABAは、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の支援についてアメリカ連邦公衆衛生局によって科学的に効果が確認されている方法論として推奨されています。TEACCHは米国ノースカロライナ大学と州政府が中心となって州全体で取り組んでいる自閉症児者の包括的な支援制度で、そこで開発された構造化や視覚的支援などの方法論は世界的な自閉症支援の標準となっています。ABC研究所は、その使命を果たすために、自閉症スペクトラムの支援法に関する研修・セミナー、施設・学校でのコンサルテーション、コミュニケーションや学習教材の研究開発、個別の療育や相談を行っています。

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